2016 Fiscal Year Research-status Report
CCUを目指した次世代型CO2分離回収膜システムの創製
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16K12620
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川上 浩良 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10221897)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CCU / CCS / ナノ粒子 / ナノファイバー / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28 年度の研究は次の通りに行なった。(1) 表面修飾ナノ粒の合成:ナノ粒子の合成では、粒子の凝集抑制が課題となるが、表面修飾を施すことにより、凝集を抑制、粒子回収法等を検討し分散性が高い新規ナノ粒子を合成した。特に、粒子コアの形状、枝、末端の構造、分岐数、世代数に関し検討した。高分子には気体透過性の高いPIM系高分子を用い、気体透過実験を行なった。その結果、パール形状ナノ粒子が極めて高い気体透過性を実現した。(2)ナノファイバーフレームワーク(NfF)の作製:NfF複合膜の薄膜化は、気体透過流量の飛躍的な向上には不可欠である。エレクトロスピニング装置を用いNfFは合成した。NfF材料は、有機溶媒に不溶でかつナノファイバー径制御(径は100nm-300nm程度)が可能からなるNfNを合成した(既に材料や架橋法等の技術は確立済み:Polymer, 53, 2217-2222 (2012)など多数)。そして、そのナノファイバー間に高分子溶液を導入し、ナノファイバー含有NfF複合膜の作製を試みた。詳細は割愛するが、NfF内への高分子導入には成功、かつNfF内の任意の位置(底面から自由に制御した)に高分子膜を作製できることに成功した。しかし、薄膜化はまだ十分ではなく、望むべき気体透過性は得られていない。その理由は、膜強度が必ずしも十分ではないために測定中に破断するのか、あるいはそもそも薄膜が作製されていないのかは検証が行なえていないため、それを明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の合成は、凝集を抑制する合成を検討、凝集が抑制された新規ナノ粒子の合成が進んだ。その結果、パール形状ナノ粒子を含有した複合膜で、高い気体透過性を実現した。一方、NfN複合膜の作製は、必ずしも順調ではない。大きな障害は、NfFからなる薄膜の作製が容易ではないということである。現状4マイクロ程度しか薄膜化が進んでいないため、さらなる薄膜化手法の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度から引き続き、ナノ粒子の合成とNfN複合膜の薄膜化を検討する。ナノファイバー間の孔空間にナノ粒子を充填した薄膜を作製するための製膜法を確立する。さらに、孔間の連結性を高めたナノ粒子のクラスター状態を作り、気体透過性の飛躍的に向上を目指す。NfF複合膜の気体透過実験は、先ずは純ガス(H2,He,CO2,O2,N2,CH4)を用いた評価を先行し、膜の基本性能を明らかにする。その後、CCSの実用化も考慮し、外部の協力を得て鉄鋼プラントから排出されるCO2/N2の混合ガス条件下での膜の性能評価を行う(ガス組成:CO2/N2 = 20/80~25/75、温度:30~50℃、圧力:10atm以下、RH%:0-90%)。Dry系気体透過実験およびWet系気体透過実験は既設の気体透過装置で測定を行う。ナノ粒子の気体透過解析は、Maxwell Model式を用いナノ空間の透過係数をシミュレーション解析から算出する。
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Research Products
(5 results)