2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12628
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 徹也 東北大学, 工学研究科, 教授 (30180467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルミニウム / マグネシウム / 亜鉛 / ドロス / 真空吸引 / ポーラスプラグ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アルミニウムの溶融時に不可避的に発生し、その量が年間約60万トンにも上っているアルミニウムドロスの発生量の大幅削減のために、溶融アルミ中にセラミックスフィルターを備えた真空吸引プラグ(バキュームクリーナー)を装入し、ドロス発生の原因物質のひとつであるアルミ中のマグネシウムを優先吸引することを試みるものである。初年度では、アルミナ製プラグを試作し、これを溶融アルミニウム-マグネシウム合金中に浸漬し、他端を真空ポンプに接続して、実際にアルミニウム中のマグネシウムが減少することを確認した。一方、アルミニウムは比重が約2.7であり、真空中では垂直方向に約3.8mも上昇するため、溶融アルミニウムとの濡れ性および気孔径分布を適正に設計するかが最大の技術的ポイントである。すなわち、アルミニウムをプラグ内に深く吸引することなく、ガス状のマグネシウムのみを吸引するプラグの特性が求められる。そのため、初年度では、上記の脱マグネシウム実験を試行すると共に、ポーラス物質と溶融アルミニウム間の力学的バランスをシミュレートし、最適な真空吸引プラグの諸元を求めた。溶融アルミニウムは活性な金属であるため、比較的貴な金属の酸化物を用いた場合には、アルミニウムによる酸化物の還元が生じ、プラグのミクロ気孔構造が変化することがわかったので、2年目以降は吸引中における気孔内界面のミクロ組織についても詳しく検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想の範囲内で進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はプラグの材質としてアルミナを取り上げて複数回の試験を実施すると共に、力学的シミュレーションを行った。この結果を受け、2年目は、アルミニウムとあまり濡れない(表面張力と接触角の制御)、静水圧でアルミニウムがあまり侵入しない(気孔径分布の制御)、という、大略2つの重要な因子を満足するプラグの絞り込みを行う。条件の選択幅はあまり広くないことが分かったが、シリコンカーバイドやボロンナイトライド等のセラミックス系まで材質を広げて検討を継続する。なお、プラグによる吸引脱マグネシウムが不調に終わった場合は、ガス吹込み循環層(RH型反応器)を別途設計し、これを用いた脱マグネシウムによってドロス発生が抑制できるかどうかについても検討する敬意核である。
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Causes of Carryover |
初年度は実験に用いるプラグ材料として、安価なアルミナに絞って検討を行ったため、消耗品代が抑えられた。また、プラグ特性の絞り込みを行うために力学シミュレーションに時間を割いたため、当初計上していた実験費用に余裕が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目は、初年度の成果を基にして、高価なシリコンカーバイドやボロンナイトライド等の複数種類の特注プラグを用いて実験に傾注するため、予定通り研究費を消化するものと考えている。
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