2016 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス高分子の自己組織化を利用した希少金属分離材料の開発
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16K12632
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
通阪 栄一 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (40363543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属分離 / 自己組織化 / 分子認識 / 鋳型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,廃棄された工業製品に含まれるレアメタルを再資源化するための金属分離・回収技術の開発を目指している。廃棄工業製品中には少量多種の金属が混在しており,この中から必要な金属を分離・回収する技術は未だ確立されていない。今回,レアメタル混合溶出液から目的金属を選択的分離・回収するための吸着剤の開発にあたり,金属配位子を適切な位置に配置し,「多官能基+認識空間」を制御することが重要だと考えた。そこで本研究では,最も効果的に官能基を配置し,分子認識空間を造り上げている天然のタンパク質に習い,その精巧な構造と分子認識場を糖鎖の組織化により構築し,レアメタルの高選択的分離材料の開発を目指した。 方法として,海藻から抽出した親水性糖鎖を主鎖とし,側鎖に金属配位官能基と疎水基を導入した高分子の合成を試みた。そして,金属配位と疎水的会合の両作用を利用して高分子を自己組織化させることで特異的金属認識部位を構築し,高度分離材料の開発を目指した。 これまでに親水性糖鎖としてアルギン酸に金属配位子としてのヒスチジン等のアミノ酸の修飾を試みた。まだ高分子への疎水基の導入は成功していないため,金属配位子導入のみによる金属吸着能の効果を評価した。複数の金属の吸着を試みたが,一部のアミノ酸の導入により金属吸着能力や選択性の促進が確認された。また,アニオン性高分子であるアルギン酸単独の吸着性にくらべ,カチオン性高分子であるキトサンとの複合化により,金属吸着の選択性が向上する結果が得られた。さらに,この複合化高分子の高密度架橋を試みたところ金属選択性に影響が出ることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた高分子合成に未だ成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
金属吸着剤を,親水性糖鎖,疎水性部位,そして金属配位官能基の3つのモジュールの組み合わせで合成する方法を確立し,その化合物ライブラリーからターゲット金属に親和性と選択性が最も高いもの選択し,高度分離材料を開発する。
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