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2016 Fiscal Year Research-status Report

培養細胞のアポトーシスを指標とした下水再生水のウイルス感染リスク評価技術の開発

Research Project

Project/Area Number 16K12635
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

佐野 大輔  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80550368)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords胃腸炎ウイルス / 感染性 / 細胞応答 / アポトーシス / 感染リスク
Outline of Annual Research Achievements

水中に存在する”生きた”ウイルスに起因する「ウイルス感染リスク」を正確かつ迅速に評価する技術が存在しないために、ウイルス感染リスクの指標確立が困難となっている。本研究では、実験室内で培養可能な組織細胞が保持する自然免疫機構を活用した「ウイルス感染リスク」評価手法を確立することを目的としている。研究初年度である平成28年度は、水中病原ウイルスの感染性を評価するための新規手法を開発するために、ウイルス感染初期に発現する細胞応答に着目した。ウイルスが感染した細胞では、抗ウイルス活性をもつサイトカインが産生されると同時に、タンパク質生産を停止しアポトーシスとよばれる細胞死に至ることが知られている。ウイルス感染時のアポトーシスを検出することにより、感染性を有するウイルスの存在を検知することが可能であると考えられる。本研究では、組織細胞におけるアポトーシスの検出が感染性ウイルスの検出に応用できるか否かを検討した。
アポトーシスにはカスパーゼとよばれる酵素が関わっていることから、ウイルス感染細胞におけるカスパーゼの活性を検出した。組織細胞としてはヒト小腸上皮細胞由来のINT407細胞、テストウイルスとしてはエンテロウイルス71型(EV71)を用いた。その結果、EV71濃度が100 PFU/well以上では接種後4時間、10 PFU/well以上では12時間で対照との間にカスパーゼ活性の有意な差があることが観察された。この結果は、本研究で試験したウイルス濃度の範囲内であれば、サンプル接種後12時間以内に感染性EV71の存在を検出することが可能であることを示している。通常の培養法では、ウイルスの細胞への感染により生じる細胞変性効果を観察するために24時間必要とされることから、組織細胞におけるアポトーシスの検出が感染性ウイルスの早期検出に応用可能であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要に示したように、今回試験したウイルス濃度の範囲内であれば、接種後12時間で感染性ウイルスを検出することが可能であると言える。現状、まだ試験したウイルス濃度条件の数が足りていないが、本研究のコンセプトの有効性を示すデータは得られていることから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

研究初年度では、アポトーシスを検出することによりウイルスによる細胞感染を従来よりも早期に検出可能であることが示された。研究最終年度である2年目では、アポトーシスに関連する遺伝子発現を直接定量することで、さらに早期、可能であれはウイルス接種後数時間以内にウイルス感染を検出することを試みる。アポトーシスには様々な遺伝子が関連していることが知られているが、中でも陽イオンの膜透過を制御するチャネルタンパク質がアポトーシス時に高発現することが報告されていることから、チャネルタンパク質遺伝子の発現量をウイルス接種後数時間に渡ってモニタリングし、ウイルス感染の検出に利用可能な遺伝子を同定する。さらに、本研究では環境水の濃縮サンプル中に含まれる感染性ウイルスをターゲットとしていることから、ターゲットとした遺伝子がウイルス感染以外の細胞ストレスに反応することも想定される。実際の環境水濃縮サンプルを用いることで、ターゲットとなる遺伝子がウイルス感染にのみ反応するか否かを検証する。これらの研究により得られた成果は、日本水環境学会年会(2018年3月・北海道大学)で発表することを目指す他、日本国内の水環境関連政策担当の方々に提示するために、土木学会誌に日本語論文を投稿する。

Causes of Carryover

投稿論文の準備が想定より遅れており、投稿料として確保しておいた金額がを次年度に使用することとした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

年度内に投稿論文の掲載までを完結させ、当初予定通り投稿料として使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 組織細胞におけるイオンチャネル遺伝子発現プロファイルに着目した水中感染性エンテロウイルス迅速検出手法の開発2017

    • Author(s)
      渡邊亮介、稲葉愛美、北島正章、岡部聡、佐野大輔
    • Organizer
      第51回日本水環境学会年会
    • Place of Presentation
      熊本大学(熊本県熊本市)
    • Year and Date
      2017-03-15 – 2017-03-17
  • [Presentation] 細胞応答を活用した感染性エンテロウイルスの迅速検出手法の開発2016

    • Author(s)
      渡邊亮介、稲葉愛美、北島正章、岡部聡、佐野大輔
    • Organizer
      第24回衛生工学シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学・フロンティア応用科学研究棟(北海道札幌市)
    • Year and Date
      2016-11-15
  • [Presentation] Rapid and sensitive detection of infectious viruses in environmental water using human genetic markers2016

    • Author(s)
      Manami Inaba, Syunsuke Kadoya, Ryosuke Watanabe, Satoshi Okabe, Tatsuo Omura,, Daisuke Sano
    • Organizer
      5th Food and Environmental Virology Conference
    • Place of Presentation
      ホテル櫻井(群馬県草津町)
    • Year and Date
      2016-09-13 – 2016-09-16
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 水環境中における感染性ヒト腸管系ウイルスの迅速検出を目的としたヒト細胞由来遺伝子マーカーの開発2016

    • Author(s)
      稲葉愛美、門屋俊介、渡邊亮介、岡部聡、佐野大輔
    • Organizer
      水圏微生物研究フォーラム2016
    • Place of Presentation
      東京大学大気海洋研究所・講堂(千葉県柏市)
    • Year and Date
      2016-08-09

URL: 

Published: 2018-01-16  

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