2016 Fiscal Year Research-status Report
人工ウェットランド(ため池)における人間活動と生態系の相互作用の解明
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16K12640
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任講師 (80403616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 俊明 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (40391106)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 / マイクロサテライトマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布する人工ウェットランドであるため池に生育する絶滅危惧種の特性を明らかにすることを目的とし、西条盆地の絶滅危惧種の生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発を行った。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。平成28年度は、コウホネ属を中心に、西条盆地の絶滅危惧種の生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発を行った。生育状況調査の結果、これまで論文等で報告があったコウホネ属の生育するため池については、池自体が消滅していたり、生育が確認できなかったりするため池が多くあり、東広島市の開発等に伴って、西条盆地のコウホネ属の生育が脅かされていることが明らかとなった。また、同種において、池毎に葉の変異があることが明らかとなった。また、マーカー開発については、コウホネの遺伝的特性を明らかにするため、西条盆地の3集団とベニオグラコウホネとサイジョウコウホネの各1集団をもちいて、マイクロサテライトマーカーを15個開発した。開発したマーカーの対立遺伝子の総数は、2から9つであり、平均3.47であり、ヘテロ接合度は0.50から0.78の範囲であった。また、開発したマーカーのうち、11個がベニオグラコウホネとサイジョウコウホネで増幅することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多型が少ないマーカーが多く、解析に使える数のマーカー開発に時間がかかっている。また、生息地調査についても、過去の報告をもとに調査を行っているが、生育地が激減しており、解析に必要な十分なサンプルが収集できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
地元の識者等の情報を得ながら、効率的に引き続き生育地調査とサンプリングも合わせて行う。マーカー開発については、近縁種等のマーカーの活用も検討する。
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Causes of Carryover |
当初は複数種のマーカー開発を行う予定であったが、解析に有用な多型が多いマーカーが非常に少なく、マーカーの開発に時間がかかっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、マーカー開発を行う。近縁種のマーカーの使用も検討し、多様性の解析を行う計画である。
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Research Products
(1 results)