2017 Fiscal Year Research-status Report
人工ウェットランド(ため池)における人間活動と生態系の相互作用の解明
Project/Area Number |
16K12640
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (80403616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 俊明 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (40391106)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 地理的分布構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布する人工ウェットランドであるため池に生育する絶滅危惧種の特性を明らかにすることを目的とし、西条盆地の絶滅危惧種の生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発を行った。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。平成29年度も平成28年度に引き続き、西条盆地の水生植物や湿地、草地の絶滅危惧種を中心に生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発と解析を行った。マーカー開発については、本年度もコウホネのマーカー開発を引き続き行ったが、解析に必要な十分な高解像度のマーカーを開発できていない。今後は、解析方法を変えることも検討している。現地調査での生育状況調査については、東広島市の開発等に伴って、西条盆地の絶滅危惧種の生育が脅かされていることが引き続き明らかとなった。特に、都市化の進む中心部だけでなく、農地周辺においても、比較的規模の小さいため池の消滅、乾燥地化が多く確認された。水生植物相についても、単純化している状況であった。また、生育分布について地理情報システムを使ってデータベースを作成し、過去の生育地の分布情報との比較、標高等の物理環境の指標を変数に、MaxEntを用いた生息適地モデルの変化の検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多型が少ないマーカーが多く、解析に使える数のマーカー開発に時間がかかっている。また、生息地調査についても、過去の報告をもとに調査を行っているが、生育地が激減しており、各々の池の個体数も減っているため、解析に必要な十分なサンプルが収集できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
地元の識者等の情報を得ながら、効率的に引き続き生育地調査とサンプリングも合わせて行う。遺伝解析については、専門的知識を持った研究分担者をH30年4月1日より1名追加した。今後、解析方法を変えることも検討している。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、現地調査を中心に行ったこと、また、当初は複数種のマーカー開発を行う予定であったが、解析に有用な多型が多いマーカーが非常に少なく、マーカーの開発に時間がかかっている。 (使用計画) 引き続き、マーカー開発行っていく。近縁種のマーカーの使用も検討するほか、ゲノムワイドな塩基配列多型検出法として、MIG-seqの利用も検討するため、平成30年度から共同研究者の追加も行った。
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