2019 Fiscal Year Annual Research Report
Human impact on man-made wetlands ecosystems
Project/Area Number |
16K12640
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (80403616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 俊明 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (40391106) [Withdrawn]
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 都市化 / 分布構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布する人工ウェットランドであるため池に生育する絶滅危惧種の特性を明らかにすることを目的とし、西条盆地の絶滅危惧種の生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発を行った。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。2019年度は、昨年の集中豪雨の影響で2018年度の調査ができなかったことから、現地調査を中心に、2018年度に引き続き、西条盆地の水生植物や湿地、草地の絶滅危惧種を中心に絶滅危惧種のサンプル採集、生育状況調査をおこなった。また、収集した生息地データのGISデータベース化に取り組んだ。昨年に引き続き、昨年の集中豪雨の被害により、多くの池が、近づくことが出来ない、または、危険箇所として立ち入り禁止になっていたため、十分な調査ができなかったが、本年度は、50カ所をこえるため池の現地調査を行った。昨年と同様に、住宅地開発の他、集中豪雨による土砂崩れ等のために数カ所のため池は消失していることが明らかとなった。そのほかのため池についても、豪雨の影響による土砂の流入により、植生が変化しているため池が多く確認された。10年前と比較したこの変化が、集中豪雨による一時的なものであるかどうかについては、今後も継続して調査を行う必要があると考えられる。また、GISによるデータベースの作成については、生育分布の地理的分布構造の解析をすすめ、10年前の分布データとの比較も踏まえた生息適地モデルの解析の精緻化を進めた。その結果、皿池のような比較的住宅地に近いため池については、外来種や大型の水生植物が増加したこと、山間の小さなため池については、管理放棄によって多様性の減少が確認された。
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