2016 Fiscal Year Research-status Report
個体ベースモデルと最適化モデルの結合によるコリドー空間配置の最適化
Project/Area Number |
16K12641
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木島 真志 琉球大学, 農学部, 准教授 (10466542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 敦 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (10264350)
加茂 憲一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10404740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コリドー配置 / 空間最適化モデル / 個体ベースモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
都市化により引き起こされる生息地の分断は、生物種の自由な移動を阻害し、生物種の絶滅に繋がる可能性があるため、生物種の移動を即すコリドーの設置は重要な課題である。しかし、適切に機能したコリドーが設置された事例は極めて少ない。本研究では、生態的な効果が十分に期待でき、経済的に実現可能なコリドー配置を探索可能な空間最適化モデルの構築を念頭に、生物の移動能力・利用環境を把握し、人間と生物の相互作用を考慮できる最適化システムの開発を試みる。具体的には、生物の行動様式を再現する個体ベースモデルと人間の合理的行動を再現するモデルの連結によりシステムを構築する。本年度は、生物種が移動する様子をシミュレーションで再現するための基礎情報の収集とデータベースの構築、および、モデリング手法の検討を行った。生物種の移動のプロセスモデルとしては、相関ランダムウォークモデルをベースとしたシミュレーションモデルの構築に向けて、実データに基づいたパラメータの設定、実装するモデルのスケールと解像度のトレードオフについて検討し、プロトタイプモデルを構築した。また、人間の社会経済活動に関する意思決定のモデルについては、都市空間における土地利用の配置最適化モデルの構築を試みた。ここでは、まず、研究基盤の整備として、地理情報システムによる空間情報の収集・管理と、様々な空間制約条件の生成を実験的に行った。さらに、簡単な空間制約条件を満たしながら、最も効率的に、「目的とする」土地利用を配置する集合被覆(set cover)問題を定式化し、簡単な数値実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の核となる2つのモデル(生物種の移動シミュレーションモデルと社会経済モデル)について、具体的な設計を行い、それぞれプロトタイプモデルを構築した。また、データベース構築に向けても、地理情報システムによるデータ収集・管理・解析を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、ひき続き、生物種の移動シミュレーションモデルに関して、パラメータの設定に必要なデータ収集、プロトタイプモデルの改良・拡張を行い、移動シミュレーションモデルの精度を高める。また、土地利用空間配置の最適化モデルについても、これまで構築したモデルを改良・拡張し、より複雑な空間制約の生成と、それらを満たす最適土地利用配置を探索可能にする。さらに、生物種の移動の様子と土地利用空間配置の相互作用を捉え、それらを反映させた、コリドー配置の最適化モデルの構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
当初予定していた高性能な計算機の購入に関して、読み込むデータのサイズ(モデルの解像度)を適切に調整することで、これまで使用してきたもので、ある程度対応できることが分かった。そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的な研究計画に変更はなく、今回生じた次年度使用額も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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