2017 Fiscal Year Annual Research Report
Soil microbial community and self-sustaining nitrogen supply in unfertilized paddy soil
Project/Area Number |
16K12644
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉山 修一 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (00154500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒素固定遺伝子 / 水田土壌 / 無施肥 / 水稲栽培 / メタン抑制 / 地球温暖化 / 持続的農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本には長期無施肥でも高収量を達成している水田が存在するが,これまでの研究で嫌気条件にある水田では窒素欠乏条件下では窒素固定細菌が活性化することが分かってきた。本研究では,収量性の異なる無施肥水田と毎年肥料を与えている慣行栽培水田土壌の窒素固定細菌群集をメタゲノム法で比較した。実験は,5cm x 10cm深さ10cmの容器に各水田の土を入れ,6月から7月までの8週間屋外条件に静置し,培養期間の窒素増加量と窒素固定細菌の変化を調べた。 土壌培養実験の結果,無施肥水田土壌では窒素増加量が慣行栽培水田より高く,窒素固定が活性化していることが確かめられた。窒素固定遺伝子配列のnifH遺伝子領域を用いた窒素固定微生物群集解析では、8週間の培養期間に慣行栽培に比べ無肥料栽培土壌で特異的に増加している遺伝子グループが見いだされた。塩基配列と窒素固定遺伝子のデーターベースから解析したところ,増加が見られた窒素遺伝子のグループはメタン酸化菌に属するグループであることが判明した。メタン酸化菌はメタンをエネルギー源(酸化)として窒素固定を行っていることが考えられる。慣行栽培ではこのグループの窒素固定遺伝子の増加は見られず,長期無肥料条件で特異的に反応して活性化する遺伝子であることが分かった。 メタンは二酸化炭素に次いで高い温室効果をもつガスであり,地球温暖化の抑制からも水田からのメタン発生を抑えることが求められている。今回得られた無肥料水田でもメタン酸化細菌によるメタン消費と窒素固定は,環境負荷の少ない持続的農業のモデルケースとなる可能性を持っており,今後のさらなる研究が求められる。
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