2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス溶解技術を応用し木質を余さず原料としたフィルム状・繊維状新規素材の開発
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16K12648
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西脇 ゆり 金沢大学, 男女共同参画キャリアデザインラボラトリー, 特任助教 (80758277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池本 良子 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40159223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオマス / セルロース / ヘミセルロース / リグニン / フィルム / 生分解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
木質バイオマスから化成品の生産をする場合、従来はセルロース、ヘミセルロース、リグニンという構成成分を成分分離して利用していた。本研究では木質を溶解する技術を利用し、成分分離を行わず木とほぼ同様の成分であり、かつ一旦溶解した後、形を変えるというプラスチックに似た方法で加工できる新たなバイオマス素材の開発検討を進めている。 微粉砕木粉が有機酸で溶解されること、さらに溶液から溶媒を蒸発させることでフィルム状に加工できることをこれまでに見出した。このフィルムについて引張試験、粘弾性測定などの物性の測定を行った。この測定は市販のプラスチックフィルムなどについても同様に行い、物性比較を行った。結果、市販のフィルムと比較しても遜色のない強度を持つことがわかった。また、180℃まで加熱しても軟化せず使用できることも見出した。この他、フィルムが割れずに曲げられること、また(破断せずに)折り紙のように折れることなども見出した。更に、フィルムは吸水性であり、また約6週間土に埋めることでほぼ原形をとどめないほど生分解されるという特性も見出した。これらの内容について国際シンポジウムでの発表を行い、また論文投稿を行い掲載された。 このように木とほぼ同様の成分であるが、プラスチックに似た手法で加工できるフィルム素材の特徴的な性質を種々見出すことができた。今後も実用化に向けた検討や更なる展開の検討などを行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に示した通り、他の素材との物性比較、原料が木質であることによる優位性(生分解性など)の評価を順調に進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に示した通り、成形性などの更なる展開について検討すると共に、これまで行った物性や生分解性の評価を更に進める。
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Causes of Carryover |
(理由)物品費、人件費が計画より少なく済んだため。
(使用計画)バイオマス素材の作成や、実用化のための物性評価のための、試薬・器具購入などに用いる。
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Research Products
(1 results)