2016 Fiscal Year Research-status Report
温度応答性スラリーの可逆的な分散・凝集制御を利用した新規海水淡水化技術の開発
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16K12651
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 正浸透 |
Outline of Annual Research Achievements |
NIPAMとAMPSの共重合体を種々の割合で調製した。調製したポリマーをアルミナ粒子と混合し温度応答性スラリーを作製した。温度応答性スラリーの室温での浸透圧はポリマー合成時のAMPS割合に応じて増加することが明らかとなった。正浸透実験においても水の吸水フラックスはAMPS割合に応じて増加することが明らかとなった。さらに環境温度を55度に変化させると、温度応答性高分子が相転移し、アルミナ粒子を巻き込む形で凝集体を形成し、素早く沈降することが示された。このとき沈降した固形物の上に形成される上澄み層が、アルミナ粒子を添加しなかった場合(温度応答性高分子溶液)と比較して多くなる、つまり回収できる水の量が増加することが明らかとなった。調製した温度応答性スラリーは3回繰り返して正浸透、水の分離実験を行ったが、3回とも吸水フラックスがほぼ一定であった。このことから、上澄み中に残存している未吸着の高分子はほとんど存在せず、環境温度がLCSTよりも高いときは全て粒子に吸着、凝集体を形成し、沈降したことが示唆された。しかしながら、AMPSの増加によって浸透圧は増加するが、ある割合以上で合成するとLCSTも増加するため、プロセスの効率上問題になることと、温度変化によって凝集が促進されず分離効率が低下することが分かった。また浸透圧の最大値も海水淡水化で必要とされる圧力までは達しないため、温度応答性ポリマーとして何を使用するかが本技術の重要ポイントであり、検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
温度応答性スラリーをドロー溶液とする正浸透技術について、その基礎原理を確立し、特許申請することができた。温度応答性スラリーのドロー溶液としての可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
温度応答性スラリーによる可逆的な分散・凝集変化について、その詳細を定量的に解明し、自在に吸水フラックスや水回収量をコントロールするための指針を確立する。海水の浸透圧は約2MPaとかなり大きいため、主に浸透圧を増加させる方向でスラリー条件の影響を検討する。
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