2016 Fiscal Year Research-status Report
炭素蓄積形態改変による次世代バイオマス植物創出の技術開発
Project/Area Number |
16K12655
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐々木 忠将 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (50432802)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム / メタボローム / トランスオミックス / ショ糖代謝 / サトウキビ |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的代謝物解析(メタボローム解析)と網羅的遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)を統合した代謝-遺伝子発現統合解析(トランスオミックス解析)により、生活環の中でサトウキビが高濃度にショ糖を蓄積する仕組みに関わる遺伝子群を明らかにする。これらの遺伝子セットを、サトウキビ以外の草本でのショ糖蓄積性向上の遺伝子資源とすることを目的として、サトウキビのワイドターゲットメタボローム解析とde novoトランスクリプトーム解析を実施している。農業生物資源研究所から分譲いただいたショ糖蓄積性に差があるサトウキビ祖先種および栽培種の若い葉を、一昼夜4時点でサンプリングし、メタボローム解析とトランスクリプトーム解析のサンプルとした。400種超の代謝物のうち、どの代謝物がいつどの程度蓄積しているのかを調べるために、GC-MS/MSによる測定を行った。次世代シーケンサーを用いたRNA-seqを行うため、葉から抽出したRNAからライブラリーを作製した。サトウキビは全ゲノム配列が未解読のため、ゲノム情報をリファレンスとしたトランスクリプトーム解析ができない。そこで、サトウキビと近縁で全ゲノム配列が解読されているソルガムのゲノム情報をリファレンスとして、de novoアセンブリーを行い、サトウキビの遺伝子発現プロファイルを行うためのパイプラインを確立した。どの遺伝子がいつどの程度働いているのか(遺伝子発現)は、転写されるRNA分子の量から推定できるので、各サンプリング時間での遺伝子の発現量を見積った。メタボローム解析とトランスクリプトーム解析により得られたデータを統合し、ショ糖蓄積性が異なる2種類のサトウキビの若い葉で代謝速度が異なる一連の代謝経路を明らかにした。また、より正確な遺伝子発現プロファイリングを実現するため、ゲノム倍数性が比較的単純なサトウキビ祖先種の全ゲノム配列の解読を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サトウキビの生育状況の関係から、当初予定していたショ糖蓄積期の葉での解析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ショ糖蓄積性が異なる2種類のサトウキビの葉での代謝物蓄積プロファイルと遺伝子発現プロファイルのデータから、葉でのショ糖生産性に関わる遺伝子発現ネットワークの推定を進め、高いショ糖生産性の鍵となる遺伝子セットの類推を進める。類推したショ糖生産に必要な遺伝子セットを、サトウキビ以外のイネ科モデル草本に導入することで細胞内にどの程度のショ糖を蓄積するのかを検証する。
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