2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Design Research Index for Inclusive Workplace Design
Project/Area Number |
16K12670
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩瀬 隆之 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90332759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インクルーシブデザイン / ワークプレイス / デザインリサーチ / 技術受容 / 心理的障壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な人材が創造的に働けるワークプレイスに注目している。平成29年度は、インクルーシブワークプレイスに関する公開研究会を開催し、また障害者就労支援施設と協働で昨年度のデザインリサーチ成果からワークプレイス改善の評価指標について研究した。観察コスト低減を想定したIoTシステムによる行動観察に関しては、ケアスタッフらの姿勢や距離感など多様な身体的関係尺度に注目して文化人類学者らとともに記述した。ここでの要件定義を元に、昨年度より開発を進めていたIoTを活用したダイジェスト記録システムを導入し、各種制約条件と対応づく工程分類を行った。とくにケアスタッフ同士のサポート体制や会議の振り返りで埋もれてしまうような気付きを半自動で積み上げることがワークプレイス改善に効果的である。 本研究において研究上注目した評価指標の一つは、技術的障壁と心理的障壁に関わる技術受容尺度である。情報機器など技術の受容過程を説明するTechnology Acceptance Model(TAM)に依拠した調査により、加速度センサや赤外線センサを組み込んだIoTシステムによる見守りなどが障害者就労支援施設のワークプレイス改善に期待を集める半面、技術理解だけでなく心理的障壁が払拭できない点が技術受容の妨げになることが示唆された。とくに発作の予兆や調子の好不調など、生命維持やプライバシーをどこまで取得すべきかに技術的、倫理的な疑念が残り、また技術に依存することそのものへの罪悪感やそれに伴う技能低下への不安などが挙げられた。行動観察には暗黙裡にワークプレイス改善の志向が内在しており、たとえば見守りに時間をかけたい者もいれば、時間を削減して効率化したい者もいるなど、改善の方向性が必ずしも一意に決定しなくとも、個々に選択した評価-リデザインサイクルをまわせる作業負担軽減につながるシステムが重要と考えられる。
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