2016 Fiscal Year Research-status Report
縮退都市におけるグリーンインフラ適用策の戦略的展開に関する研究
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16K12671
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福岡 孝則 神戸大学, 工学研究科, 特命准教授 (60641008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 由希子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50508190)
加藤 禎久 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (40625092)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グリーンインフラ / 縮退都市 / 緑地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、縮退による空地の創出をネガティブに捉えるのではなく、都市内に新しい形のグリーンインフラ適用策を戦略的に展開する機会と捉えた北米の縮退都市において、敷地スケールのグリーンインフラ適用手法と広域・都市スケールのグリーンインフラ計画の展開を考察するものである。2016年度の研究活動としては、工業の衰退による縮退が著しい米国フィラデルフィア都市域を対象に、当該都市における空地の現状や敷地スケールのグリーンインフラ適用手法の整理を行うために、文献・資料調査など基礎的な調査を進めた。加えて2016年5月初旬にフィラデルフィアにて現地調査を行い、フィラデルフィア市グリーンインフラ関連部局、Pennsylvania Horticultural Societyなど空地の暫定緑化を手がけるNPO団体、An Initiative of the Sustainable Business Network of Greater Philadelphiaなどのヒアリング調査を実施すると同時に市街地を中心に空地におけるグリーンインフラ適用手法の現地基礎調査を行なった。一連の調査概要は研究成果としてISAIA(アジア建築交流国際シンポジウム、アジアの3建築学会が共催)において論文発表した。また、研究に関連した報告会としては米国ピッツバーグ市都市計画局の戦略的な空地施策とデザインツールキットに関してコンサルティングを行うARCのザック・ロクレム氏の来日に合わせて縮退都市における空地施策とデザインと題するシンポジウムを7月14日に開催した。当初の目標としていたフィラデルフィア市における敷地スケールと広域・都市スケールの動向を網羅的に研究するには至っておらず、対象の絞り込みが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究一年目となる2016年度は、米国の縮退都市フィラデルフィアにおける空地の派生状況とその暫定緑化状況、都市スケールにおけるグリーンインフラ系計画概要について、そしてその当該取り組みおける管理組織体制などに関する基礎的な情報を現地及びヒアリング調査から得ることができた。特にその概要と関連する研究発表をISAIAにおいて行い、7月には同テーマでシンポジウムを開催することができた。しかしながら、改めて縮退都市フィラデルフィア他において研究対象としている空地の幅が広く、また派生状況や管理運営団体の取り組みが非常に多岐に渡るため、研究対象の再考と精査という課題に直面している。また、空地における暫定緑化の中でグリーンインフラ適用手法に絞り込んで戦略的な展開がされている事例よりもむしろ、暫定的な緑化という介入手法を通じて空地に向けた新しい取り組みをまとめた方が研究を進める上で重要なのではないかと考えている。残り2カ年の方針と対象を早急に定め研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度からは研究の2年目にということもあり、当初研究調査対象として設定していた米国デトロイト都市域における空地を対象にした現状分析、グリーンインフラ適用手法、及び同地域における都市スケールのグリーンインフラ計画や戦略の展開を中心とした研究調査内容を見直し、2016年度のフィラデルフィア市における研究調査の取り残り作業とそれらを元に比較分析などで重要になる対象都市を精査した上で、夏季に調査の実施を予定している。 グリーンインフラ適用手法と空地という大きいテーマの中で、より広く空地の戦略的な暫定緑化という観点からまず空地の介入手法を分析し、その中で得られるグリーンインフラ適用手法という括りで研究対象を捉えて行く報告性が良いのではないかと研究者間では議論を進めている。 空地の暫定緑化やグリーンインフラというテーマは、新しい視点であり既存の都市や地域における未利用地や荒廃地をより積極的に緑地として位置付けていくための基礎的な研究である。よって、このようなテーマを元に学会やランドスケープの組織においても積極的な意見・情報交換の場を設定するとともに、成果を何らかの形でまとめて中間報告を行えればと計画している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額のうち、科研分担金20万円(首都大学東京 片桐由希子)に関しては、2016年度内の海外調査実施が適わなかったため、2017年度の使用に繰越すこととなりました。また、残りの5.3万円(福岡孝則)は同じく同予算での人権費・謝金の支払いが派生しなかったため2017年度に繰越となりました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
科研費分担金(首都大学東京 片桐由希子)に関しては2017年8月に実施予定の海外調査において使用を予定しています。また、残りの次年度使用額(福岡孝則)に関しては同期間に実施予定の海外調査において使用を予定しております。
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