2017 Fiscal Year Research-status Report
Thoughtless Resilienceとはなにか
Project/Area Number |
16K12673
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾方 義人 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20326416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンスデザイン / 地区防災計画 / 熊本地震 / 九州北部豪雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害後の避難所で生活する際に、被災者が自身の明るい未来を創造できる状況を具現化できるようにするために①発災前の事前準備、②発災直後、さらに③再建に向けて動き出す復興期を重視して以下の3つのレジリエンスを考える。 ①自己完結型の避難所運営を可能にするためにはコミュニティを高めることが重要である。そのためには事前に向社会性を高める必要がある。そこで体験・教育システムサービス・防災教育プログラム(小学校から大学まで)をPOC化(不完全な実用化)する。また生物としてのヒトの特徴を考慮した居住環境を事前に整備しレジリエンス力を高める環境制御システムを検討する。 ②発災直後の被災者の不安感を払拭するために避難所まで安全・安心に誘導し、さらに避難所内での行動を守るための行動・しぐさ・見守りシステムの開発が必要である。そこで屋外から避難所までは既存の技術(IoT, GPS, ICT等)を人間の集団特性を考慮して組み合わせ誘導するシステムを検討する。 ③①と②が満たされた状況下において、ある水準の心身状態が確保された上で、相応な切っ掛けを授受することが重要である。そのためにはサービスの受け手と送り手との間でのサービス主導性のやり取りを正のスパイラルにする必要がある。そこで両者間の事前期待とそれに対する満足度を数値化するサービスチェックシステムの開発を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要に記述した内容を見出すことができ、また下記の今後の研究の推進方策についても一定の方針を見出すことができつつある。しかし、熊本地震を主体に研究計画し、それに基づき薦めていたが、研究2年目次に発災した九州北部豪雨の調査及び朝倉市及び東峰村に対しての復興支援を中心的に行っている。そのため具体的な現場の問題解決を行いながらの研究となり、進捗がやや遅れており延長申請をしてみとめられた。延長はしたが、具体的な復興支援をしながらの研究はさらなるレジリエンスデザインのアプローチを見い出すことができ、新たな方法論が生まれつつある。 今後は熊本地震と九州北部豪雨の現場や実施調査に基づく方法を検討し、レジリエンスデザイン方法論をまとめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
重要なキーワードには「自助・共助の重要性」「より居住者の実態に近い防災計画を作成することが可能」「居住者目線での防災計画」「ボトムアップの考え方」「様々な立場の方を検討に参加させる」などがある。生活者が様々な立場や年齢・社会属性がありそれにより防災計画を充実させていかなければならないことは周知のことである。 様々な防災や災害への考え方や経験の差が行動に現れてきていると考えるほうが自然である。また、その理由を把握しないままの「会議に出席しなさい」「防災訓練に参加しなさい」では具体的な改善策とならない。そのようなユーザー行動の改善を促す考え方として、看護学やサービス学の「行動変容」という考え方がある。多くの慢性疾患の予防と治療には、人が健康のために良いとされる行動をとり, 維持することが重要である。これは誰しもがわかっていることである。例えば、健康のためには、飲酒を控え、運動をした方がいいということは、誰しもがわかっっているがその改善は容易ではない。逆にそのような行動の改善が生まれれば、莫大な新薬の開発費用や高度な手術ロボットも必要ない。医療費抑制の考え方として、行動変容や態度変容の考え方が生まれ、看護学では方法論として確立している。 この健康に対しての考え方を防災意識に置き換え、まずは住民ひとりひとりが防災に対して、どのステージにあるのかを把握する必要を感じた。すべての人が全て助かることが防災計画の目的であるが、様々な段階にある住民の気持ちや状況を理解し、理解していくことが有効な防災教育や防災訓練になる可能性が見いだせた。そのため今後はそうような方針からの研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究2年目次に発災した九州北部豪雨の調査及び朝倉市及び東峰村に対しての復興支援を中心的に行っている。そのため具体的な現場の問題解決を行いながらの研究となり、進捗がやや遅れており延長申請をしてみとめられた。延長はしたが、具体的な復興支援をしながらの研究はさらなるレジリエンスデザインのアプローチを見い出すことができ、新たな方法論が生まれつつある。その取りまとめた内容を印刷物として発行を行う。そのための印刷編集等に利用する。
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