2018 Fiscal Year Annual Research Report
What is "Thoughtless Resilience"?
Project/Area Number |
16K12673
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾方 義人 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20326416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンス / 災害・デザイン / 九州 |
Outline of Annual Research Achievements |
九州北部では地域で豪雨や地震による災害が近年多く発生した。豪雨によって山腹崩壊が多発し、流出した大量の土砂や流木により河川の氾濫や家屋の倒壊等の被害が拡大し、過去最大級の流木災害となった。日本は国土の2/3が森林で、戦後に杉や檜の針葉樹の人工林が多く造林されたが、国産材の需要減少や林業の衰退により、伐採されずに主伐期を超えている木が多くあり、森林蓄積が年々増加しているため、国産材の積極的な活用 が求められている。被災地の朝倉市は特に杉の人工林率が高く林業も盛んであり、木材資源を積極的に活用していく必要があるが、今回の災害で被害を拡大させた要因として被災地の人々の杉に対する印象は著しく低下した。 本研究では、平成29年7月九州北部豪雨の被災地である福岡県朝倉市を対象に、木材活用による持続的な支援の仕組みを設計・提案することを目的とする。ここでの持続的な支援とは、ボランティアのような一時的な活動で終わってしまう支援ではなく、お金が循環する仕組みを作ることで、無理なく継続して行える支援の方法を指す。また、支援者が外から支援するだけで完結するのではなく、被災地の人々が関わり最終的にはその地域の自立した産業として継続可能な方法を作った。本研究では、実際に関わった複数の復興支援プロジェクトを通し、支援の仕組みを分析し持続的な支援のために必 要な要素を考察する。また、木材活用の方法の一つとして、廃材を活用した製品の設計方法を検討し提案する。流木等の被災木を活用し、デザインによって新たな価値を付与することで被災地を支援し杉の印象改善を目指す。実際に、流木や被災杉等を活用したプロダクトを設計・制作し、災害の記憶の風化防止と杉の印象改善を目的とした展示会を開催した。しかし、このような制作や展示会は継続して行うことが困難であり、持続的な支援のためには、お金を生み、循環させる仕組みを設計した。
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Research Products
(7 results)