2016 Fiscal Year Research-status Report
「色音変換発音装置」を利用した視覚障害者用誘導システム
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16K12677
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
日原 広一 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (30404833)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚支援 / 聴覚ディスプレイ / データ可聴化技術 / パラメタマッピング / 点字ブロック / 誘導 / 視覚障がい者 / 情感 |
Outline of Annual Research Achievements |
「色音変換発音装置」を利用した,視覚障がい者のための「誘導システム」の開発を目的とする本研究は,初年度(平成28年度)に計画していた予備実験用装置(①色センサ,②白杖本体,③変換装置,④発音装置)の組立開発を実施した.一方,本研究の進路及び学術的位置づけを図ることを目的としたフィールド調査及び文献調査を実施し,本研究が聴覚ディスプレイ開発に関わるもので,その基盤技術が,パラメタマッピング方式のデータ可聴化技術であることを明らかにさせた.そのことから,入力データとなる色面のパラメタと可聴化される音のパラメタとの対応づけが,本研究において最も重要なコンテントであることが確認され,その体系化の課題発見を予備実験の主たる目的とした. 予備実験用パラメタの体系化は,①Analogic(即時性),②Symbolic(意味性),③Emotional(情動性)の3系統を主軸に据え,①を誘導と注意・警告の標識.②をイベント・成果標識,③を着地(ランディング)標識とした.それぞれの可聴化は,①に単音と二度不協和音(長2度,短2度),②に音声的信号,そして③に三和音(長3和音,短3和音)をあてることとした.但し②については現行可聴化装置においては,音声的信号の再生に必須の音の高低に対応できていないことがあり,次年度以降に取り扱い,初年度は①③の検証に特化した. 検証は,①③に則して制作された色面標識のそれぞれの識別性,そして標識の妥当性を特に重視した.結果,それぞれの識別性は,事前トレーニングを実施しているならば問題なく識別されることが分かった.但し異なる標識に移動する際に,方向を見失う課題が現出した.なお標識全体の妥当性についての結論は,②の検証を行うまで保留することとした.研究の現在は,当該検証結果の考察と事前トレーニングが重要であることから,当該マニュアル制作を行っているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初は,色音変換装置というデバイス開発から着眼された研究主題であったところから,当該装置を前面に立てたフィールド調査であった(視覚支援学校等にて実施した).しかしながら,装置の有効利用(効果的役割)の方向性が見え難かったことから,先ずは本研究制作の学術的位置づけの明瞭化を図ることとした.そのことによって,本研究が,聴覚ディスプレイ開発に関わるものであって,その基盤技術が,パラメタマッピング方式のデータ可聴化技術であることが判明し,そのことから,入力データ(色のパラメタ)と可聴化される音のパラメタとの対応づけ(体系化)が最も重要なコンテントであることが確認された.このことは大きな成果だったと考える. 体系とした3系統(Analogic. Symbolic. Emotional)の妥当性については,Symbolic(音声的信号の可聴化)についての技術開発を待たねばならず,現在,そのアプローチを進めているところである.見通しとしては,色面に「諧調」を与え,それを時系列的に走査させることによって特徴的(音声的)可聴化が可能だと考えている.それが困難な場合においては,本システムとは異なる系の技術(例えばトリガーの役割を持たせたタグ付けによる可聴化)の利用も視野にいれている.また合わせて,装置全体の走査精度を高める施策を行いたい.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進してゆくうえでの課題は,とくに以下だと考えている. (1)Symbolic(音声的信号の可聴化)についての技術開発.(2)装置全体の走査精度の向上.(3)事前トレーニングについての整備.(4)標識全体のデザイン性(視覚的に装飾的過ぎることの課題). 上記の推進方策は以下である。(1)についての実施は代替案もあることから問題ないと見通している.(2)については開発費用に課題が出てくる可能性がある.(3)については重大な問題はない.(4)についてはクリティカルな課題と考えており,標識の形状,色面の選抜などの対策案を検討したい.
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Causes of Carryover |
当初の研究実施計画におけるパラメタマッピング(色面データを可聴化させる方法)について,色の波長(RGB)のみをデータとする考えであったが,フィールド調査の中で,Symbolic標識を実現させるためには,音の大きさ(振動数)或いは高さ(振幅)に対応した入力データ(色面パラメタ)を考える必要性が生じた.そのことによってプログラム内容について再考が必要となり,当該制作(及びセンサ制作)の発注を次年度に繰り下げたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
センサ及び関連プログラムについての制作費用は以下の通りである.(1)Symbolic標識として,色面データをチャイム或いは音声に可聴化できるシステム=約50万円.(2)入力データとしてタグ等を用いた従来型とは異なるアプローチによる可聴化システム=約26万円.その他(40万円)については,当初の予定通りその他物品費(20万円)及び交通費(20万円)とする計画である.
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Remarks |
本研究の初年度実績について,その詳報を目的とした研究ノートが,上記サイト(日原研究室_科研採択研究報告サイト)のトップページよりダウンロードが可能である。また当該サイトにおいて,装置及び検証実施内容の動画を閲覧できる。
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Research Products
(1 results)