2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育現場における行動解析に着目した防災教育システムの構築
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16K12696
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Research Institution | Osaka Jonan Women's Junior College |
Principal Investigator |
中津 功一朗 大阪城南女子短期大学, その他部局等, 講師(移行) (30454606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 健 関西大学, 付置研究所, 研究員 (30749221)
高橋 亨輔 香川大学, 工学部, 助教 (60647262)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災 / 幼児教育 / 避難訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、幼児教育分野で防災意識を向上させる学習と体系的な評価ができる教育システムの基礎研究として、養成校の学生を対象とした避難シミュレーション実験の実施、および、幼稚園教諭を対象とした避難訓練に関する調査を行い、その結果について考察し検討した。 2016年9月に香川大学の白木・井面・高橋らが開発した体験型の訓練シミュレータによる実験を行った。この実験は、訓練シミュレータを体験し、その振り返り議論を行い、防災意識に関する調査を行うためのものである。この実験における学生の振り返り議論では、日常の危機管理能力が防災意識に影響するだけでなく、防災意識を高めることが、幼稚園教諭・保育士という仕事の再認識につながる、つまり、幼児の命を預かる責任ある仕事であることを再認識するという側面も同時に見られた。 また、2016年11月、2016年2月の2回に渡り、大阪市内の幼稚園で避難訓練に関する調査を行った。避難訓練における実態把握を目的とし、幼稚園の勤続年数が異なる幼稚園教諭4人を対象として、アンケート、ビデオトラッキング、インタビューによる調査を実施した。本調査から避難訓練時の意識や着目点、現状での想定や対策に関するデータを収集する。振り返り議論では、園児を安全に避難させる為に何をすべきかだけでなく、自分自身の安全確保を考えなければならないことなど、視点を変えて議論が行われていた。議論の中では、対象者間の意識共有が行われており、訓練そのものよりも、振り返り議論が重要である事を改めて確認することが出来た。 本年度は提案するシステムのプロセスにおける「学習」に該当するものであることから、振り返り議論による意識の広がりの調査に加え、それを支援する情報技術の適用可能性の調査を行った。実施結果から、学習者の防災意識の変化や安全性を高めるための課題発見に有効である事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では,次年度以降に改善・評価を実施するための基本となる訓練シナリオを作成することを目的とした。そのために、城南幼稚園をモデルとし,幼稚園で地震が発生した場合を想定し,発生時期(曜日や時間帯),シチュエーション等が異なるシナリオを数ケース作成した. 次に,被災時に想定されるこどもの行動や,被災現場のおとなの連携など幼稚園で起こり得る具体的なシナリオを現役の先生方を中心に実際に訓練シミュレーションを行いながら検討した.検討する際には、ウェアラブルカメラで撮影した訓練シミュレーションの様子等を用いて、議論が活発に行える状況を提供した。 また、本研究は、養成校の学生も対象にしていることから、香川大学の訓練シミュレータを用いて、シナリオの検討をすると同時に保育者養成校の学生(大阪城南女子短期大学・大阪そう烏合保育大学)の防災意識の調査も行った。 この2つの調査研究については、2017年5月20日(土)・21日(日)に行われる日本保育学会第70回大会で発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、以下の3点を中心に研究を行う。①本年度、作成した被災シナリオに対して、訓練や振り返り議論の結果をフィードバックする。本年度に撮影した訓練中の動画を分析し、その結果を検証し、被災シナリオにフィードバックし、改善する。また、香川大学の訓練シミュレータを用いて遠隔訓練を城南幼稚園の教諭を対象に実施し、その結果で得られた情報や知識も被災シナリオにフィードバックする。②本研究の目的は保育士・幼稚園教諭の防災意識の向上にあり,シナリオにフィードバックし,議論を繰り返すことで,防災意識が向上しているかどうかを検証する.検証の方法として,アンケートやチェックリストだけでなく,シミュレータでの行動の変化などを用いる.行動の変化としては,こどもの目線を実際に確認することで,おとなの訓練時の視野が広がるなどが想定される.③避難訓練やシミュレータ体験等の具体的な行動をデータ収集し,意識が変わることで行動に変化があった項目を整理して,評価方法を提案する.具体的には、参加者のアンケートやチェックリストによる結果と行動解析によるデータを用いてデータマイニングや統計分析を行う.
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Causes of Carryover |
大阪城南女子短期大学で香川大学の訓練シミュレータを用いた遠隔実験の準備を本年度行う予定であったが、大阪城南女子短期大学でネットワークの更改が予定されており、本年度構築してしまうと、次年度にまた新たな設計費用を生む可能性があったため、延期することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述した遠隔実験の準備に関わる費用として、次年度使用する予定である。 関わる費用としては、構築費用および香川大学との打ち合わせ等に利用する旅費が計上される。
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Research Products
(2 results)