2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12699
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 明男 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (40205729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絡み織 / 耐突刺し抵抗 / 貫通エネルギー / 通気抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、昨年度の成果を総括し、それらについて学会発表(2件)および論文発表(1件)を行った。 実験研究としては、まず各種の絡み織の試作方法について調査・検討を進めた。比較的小型の設備で絡み織を実現するには「ビーズ織」と呼ばれる技法と「カード織」という方法があることが明らかになった。まず、前者のビーズ織と呼ばれる方法について取り組んだが、現状で使用できるビーズ種類が限られているなどの理由でこれまでのところ現有の設備では困難であることが判明した。もう一つの方法であるカード織についても一定サイズ以上のサンプルの作製は容易ではなく、更なる工夫が必要であることが明らかになってきた。しかしながら、ごく細幅であればサンプルの作製は可能であり、また細幅織物で用いられるインクル織の技法との組み合わせで可能性が見られるので引き続き検討を進めることにした。 さらに、上記とは別に、絡み織物を含む各種の特殊な構造を持つ織物について、防護服材料の基本的な要求事項である耐突刺し防護性能及び通気性について検討を行った。具体的には、食品製造時に用いられるだしこし布に注目した。これらの布は濾過に用いられているものである。これらの布はその使用目的上、濾過性が良く、かつ布目が外力などで寄ってしまわないことが求められるものである。この点が本研究で着目している、「通気性」と「布目の寄りにくさ」という二つの主要な特性を高度に両立できているものの例であると考え、耐突刺し防護服材料の要求特性と類似していると考えて、これらを対象に突刺し試験と通気性試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度はポリエステル糸を材料として絡み織サンプルを製作する予定であり、そのための方法として「ビーズ織」と「カード織」の検討を進めた。結果としてはこの部分に関しては、サンプル製作には成功はしなかったが、インクル織との組み合わせにより今後の可能性を見出している。この点については、やや研究が遅れている。 一方で、だしこし布を用いた研究により絡み織物以外でも同様の効果を得られるということを見出しており、より総合的に防護服材料のあり方の可能性を探ることができた。これは当初の予想を超えた進展であった。 以上を総合して、現在までの研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの成果を検証するために比較対照実験として通常のポリエステル織物における通気性と耐突刺し性の実験に取り組み、検討を行う。 また、これまでに成功していないサンプルの自作についてはインクル機と呼ばれる織機を導入して「カード織」の技法により作製に挑戦する。可能であれば高強度繊維を用いた絡み織サンプルの作製も検討したい。
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Causes of Carryover |
(理由) 主にサンプル自作に関する実験が本年度完了しなかったため、次年度使用額が生じた。研究を先行して実施することを検討したが、若干の予算の不足が見込まれ、また年度終了間近であったため次年度使用とすることにした。 (使用計画) 次年度使用額に関しては平成30年度請求額と合わせてサンプル自作のための消耗品などの購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)