2016 Fiscal Year Research-status Report
現地調査に基づく長期的視点に立った被災地復興の実証的研究
Project/Area Number |
16K12701
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮野 道雄 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 学長補佐 (00183640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域居住・まちづくり / 被災地復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は2年間で実施する。年度ごとの計画としては、初年度前半には対象地域の過去の空中写真や最近のグーグルマップ写真によって被災直後の地域規模(範囲)との拡大・縮小などの変化を確認する。つぎに、対象6地震のうち津波被害が際立った南海地震と北海道南西沖地震の被災地の構造変化と避難場所などの減災対策の状況変化を現地調査によって明らかにする。次年度には、伊豆半島沖地震、兵庫県南部地震について、申請者が保有する、被災直後とその後の復旧状況調査結果を踏まえて、現状での被災地の構造変化を現地調査から明らかにする。最後に、以上の成果と宮城県沖地震で振動被害を被った仙台市平野部での東日本大震災津波被害との関係を改めて考察し、同震災の今後の復興に役立てる指針を得る。 初年度の平成28年度にはすでに所有している対象被災地の過去の地形図と、自身を含む研究成果によって得られた被災状況・被災範囲に関する情報および被災直後から近年に至る過程での空中写真による集落の規模・範囲の変遷について比較検討を行った。また、最近の状況については適宜、グーグルマップによって変化を確認した。 また、フィールドとして最も近い兵庫県南部地震の被災地である神戸市東灘区および淡路島北淡地区における過去20年以上にわたる変化を整理した。この研究では都市域である神戸市と農漁村域である淡路島北淡地区の被災後20年における復興の形態変化について比較を行うことが主目的であった。結果としては、住宅の建て替え率や建物構造・形式の変化などに両地区の差異が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は2年間で実施することとし、初年度の平成28年度前半には対象地域の過去の空中写真や最近のグーグルマップ写真によって被災直後の地域規模(範囲)との拡大・縮小などの変化を確認する。つぎに、対象6地震のうち津波被害が際立った南海地震と北海道南西沖地震の被災地の構造変化と避難場所などの減災対策の状況変化を現地調査によって明らかにすることを計画していた。 研究の進捗については、所有している対象被災地の過去の地形図と、自身を含む研究成果によって得られた被災状況・被災範囲に関する情報および被災直後から近年に至る過程での空中写真による集落の規模・範囲の変遷について比較検討を行った。また、最近の状況については適宜、グーグルマップによって変化を確認した。 また、フィールドとして最も近い兵庫県南部地震の被災地である神戸市東灘区および淡路島北淡地区における過去20年以上にわたる変化を整理した。この研究では都市域である神戸市と農漁村域である淡路島北淡地区の被災後20年における復興の形態変化について比較を行うことが主目的であった。結果としては、住宅の建て替え率や建物構造・形式の変化などに両地区の差異が見られた。 しかしながら現地調査については、当初予定していた北海道南西沖地震と南海地震の都合がつかなかったため、次年度に予定していた兵庫県南部地震の神戸市と淡路島北淡地区調査を先行して行った。 以上のように年度前半の予定は計画通り進捗し、後半の現地調査も対象地区の変更はあったものの、十分な成果が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、過去に大きな被害を生じ、研究代表者自身による被災調査などの実績を有する6地震を対象とし、長期にわたるスパンで復興の状況を明らかにすることを目的としている。研究は2年間で行うが、初年度には6地震をのうち津波被害が際立った南海地震と北海道南西沖地震の被災地の構造変化と避難場所などの減災対策の状況変化を現地調査によって明らかにし、次年度には、伊豆半島沖地震、兵庫県南部地震について、申請者が保有する、被災直後とその後の復旧状況調査結果を踏まえて、現状での被災地の構造変化を現地調査から明らかにすることを目指していた。また、最後に、以上の成果と宮城県沖地震で振動被害を被った仙台市平野部での東日本大震災津波被害との関係を改めて考察し、同震災の今後の復興に役立てる指針を得ることを計画している。 結果的に初年度には2年目に予定していた兵庫県南部地震の神戸市東灘区および淡路島北淡地区を先行して調査したため、最終年度の2年目には残された南海地震、北海道南西沖地震、伊豆半島沖地震の被災地調査を実施し、併せて宮城県沖地震による仙台平野の被災地の変化を東北地方太平洋沖地震の被害の状況と比較しながら検討する。 以上の結果に基づき、被災の状況や地域特性の差異による復興のあり方がどのように変化し、長期間を経た後の復興の結果がどのような形になってくるかについて考察を行う。明らかになった結果は、今後の災害における地域の復興を検討する際に役立つことを目指す。
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Causes of Carryover |
初年度には当初予定していた昭和南海地震の被災地である高知県や徳島県および北海道南西沖地震の被災地である奥尻島など遠隔地の調査ができなかったため、近隣の兵庫県南部地震の被災地である神戸市や淡路島の調査を行った。このため、初年度に支出を予定していた旅費を次年度において請求する。さらに、当初の予定通り、2年目に予定していた伊豆半島沖地震の被災地である石廊崎、入間、子浦や宮城県沖地震の被災地である仙台市の荒浜地区を含む平野部を東日本大震災との比較を行いながら調査するための費用を請求する。 また、本研究開始後に発生した熊本地震についても新たに計画に加えて調査を実施するため、この費用も計上する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度調査できなかった昭和南海地震の被災地(高知県須崎、徳島県牟岐など)、北海道南西沖地震の被災地(奥尻島)、伊豆半島沖地震の被災地(石廊崎、子浦、入間など)、宮城県沖地震の被災地(仙台市平野部)、東北地方太平洋沖地震の被災地(仙台市荒浜、石巻など)について、被災地の現状について調査を行うために旅費を使用する。また、熊本地震による被災地のうち益城町などの調査を実施するための旅費も必要となる。 さらに、熊本地震調査に用いる空中写真など資料の購入費用も計上する。
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Research Products
(1 results)