2016 Fiscal Year Research-status Report
難消化性糖質由来の大腸水素は生体内で電子供与体としてアスコルビン酸を代替するか?
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16K12719
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西村 直道 静岡大学, 農学部, 教授 (10341679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水素 / 大腸発酵 / アスコルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸発酵により生成された水素が還元性を示し、生体内における酸化ストレスを軽減することをこれまでに示してきた。これまでに水素がヒドロキシルラジカルを選択的に消去するという可能性が報告されているが、これはin vitroで示されたにすぎず、生体におけるメカニズムはいまだ不明のままである。本研究では、大腸で生成した水素が電子供与体としてα-トコフェロール(α-Toc)の再生に寄与し、それが生体内酸化ストレスの軽減に寄与していること明らかにすることを目的とした。 通常、α-Tocの再生にアスコルビン酸が利用されている。大腸水素によるα-Toc再生を証明するため、低アスコルビン酸食を与えたアスコルビン酸合成不能ラット(ODSラット)に難消化性糖質であるフラクトオリゴ糖(FOS)を与え、水素生成量、肝臓α-Toc濃度、アスコルビン酸濃度、グルタチオン濃度、マロンジアルデヒド濃度を調べた。しかし、肝臓アスコルビン酸濃度は低アスコルビン酸食で有意に低下したものの、FOS摂取による大腸水素生成の上昇にこれまでに観察したことのないレベルの大きなばらつきを生じ、大腸水素の作用を厳密に検証できる状態を確保できず、大腸水素による肝臓α-Toc濃度の変化を正確に捉えるに至らなかった。これは新しい研究環境になり、腸内細菌叢の変化を生じたためと考えている。また、アスコルビン酸欠乏によりFOS摂取量が大きく低下する個体も生じ、実験系を見直す必要性を生じた。 現在、実験系の見直しとして飼育期間の短縮、アスコルビン酸および難消化性糖質の投与方法の変更、他組織におけるα-Toc濃度の検証などを行っており、今後α-Toc再生に対する大腸水素の作用の再検証を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新しい研究環境に異動し、実験動物施設の環境も変化したことにより、研究結果においてこれまでに観察したことのないような大きなバラつきを生ずるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系の見直しを実施し、早急に新たな実験系を立ち上げることを試みる。現在、新たな実験系で検証しているところである。なお、遅れが今年度中に取り戻せない場合、期間の延長申請をする予定である。
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Causes of Carryover |
大学を異動したため、研究体制が平成27年度に構築できず、平成28年度に延長した挑戦的萌芽研究を抱えていたため、そちらを優先せざるを得なかった。そのため、本申請研究の実施が大幅に遅れ、次年度に実施する必要を生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現時点では、平成29年度に遅れを取り戻すべく研究を実施し、平成28年度の残額と平成29年度の予算を執行する予定である。
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