2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12738
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥村 仙示 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 講師 (30322259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝疾患 / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
周術期の栄養管理は術後の早期回復において重要な要素である。我々は、肝切除前後の血清・尿の代謝物の変動を検討した。 対象は、肝細胞癌患者16名(年齢:67±2歳、男性13名/女性3名、BMI:22.2±0.6kg/m2)とした。病因はHBV(6名)、HCV(4名)、アルコール(2名)、アルコール + HCV(1名)、nonBnonC(3名)であった。血清(S)とスポット尿(U)は術前(S0、U0)と肝切除後1日目(S1)、3日目(S3、U3)、14日目(S14)の早朝空腹時に採取した。血液生化学検査とキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)及びキャピラリー電気泳動-三連四重極型質量分析計(CE-MS/MS)を用いて血清・尿のメタボローム解析を行った。術後の血清(S1、S3、S14)と尿(U3)の代謝物を術前(S0、U0)に対する変化で比較した。 S1では、BCAA(Val、Leu、Ile)が低下傾向にあり、AAA(Phe、Tyr)は上昇傾向にあった。Fischer比(BCAA/AAA)は有意に低下していた。また、Ala、GlyやTauなど多くのアミノ酸が上昇していた。S3では、Glnが著しく低下し、早期のエネルギー源として利用された。S14では、S1で上昇がみられた多くのアミノ酸はS0値まで低下していた。インスリン値は、S1とS3においてS0に比し有意に上昇した。重回帰分析において、血清のGlnやTauを従属変数とすると、炎症マーカーであるWBCやCRPが独立変数として関連が示された。 今回の研究により、術後早期から筋蛋白は分解し、炎症の程度と関連することが示された。また、CE-TOFMS, CE-MS/MSによるメタボローム解析は周術期の代謝評価に有益な手段であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝癌患者切除前後の血清及び尿について、さらにメタボローム解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象人数を増やし、臓器サンプルについても検討したいと考えている。 ただし、入院患者が対象のため、本研究期間内に入院してきた方が対象となる。
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Causes of Carryover |
対象者のサンプルを採取しており、測定に関する消耗品や解析費用に、まだ経費が使用されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプリング終了後、解析や測定を行う。
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Research Products
(5 results)