2016 Fiscal Year Research-status Report
GIS技術による在来種の遺伝的特性に関する起原解明と機能性食品素材評価
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16K12739
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡辺 高志 熊本大学, 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター, 教授 (70210911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 美貴代 熊本大学, 薬学部, 特任准教授 (80771188)
DEVKOTA HARI 熊本大学, 大学院先導機構, 特定事業教員 (90750042)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GIS技術 / 在来種の遺伝的特性 / 機能性素材評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
GIS技術による在来種の遺伝的特性に関する起原解明と機能性食品素材評価研究として、四国(高知県)と九州(大分県~熊本県)のツルマメに絞り込んでフィールド調査を実施しました。調査には、高知工科大学の研究協力者らの橋梁を得ながらフィールド調査を遂行しました。高知工科大学システム工学群の研究協力者と学生にも同行いただき第1期合同調査と合わせデータの構築を行いました。 また、次年度UAVを本格的に運用して空撮も、過密なスケジュールの合間に入ってくる予定と聞いておりますが、今年度は実現できませんでした。 6月27日~11月24日で、ツルマメ自生地の調査を合計5回行いました。次年度は、葉の若い状況での光量子調査も必要なことから、継続的(1週間毎のインターバル)に調査を続けて行きたいと思っています。また、環境理工学群の古澤研究室の所属学生の卒論テーマと合わせて、6月から11月にかけて高知県香美市および香南市に生息するツルマメのフィールド調査を行いました。ツルマメの葉と種子を採取することを主な目的とし、以下の通り採集調査活動を行いました。 調査日:6月27日、8月22日、9月27日、10月21日、11月24日、場所:①高知県香南市野市町東佐古、②高知県香美市土佐山田町佐古藪、③高知県香南市香我美町徳王子 平成28年11月26日から12月9日の2週間、タイとミャンマーでアジアにおけるダイズの現地調査を行うとともにミャンマーのパテイン大学で開催されたミャンマー・日本国際学会に於いて、「Food Vision as Agro-medicine to research both native variety and local vegetables of Japan toward the Tokyo 2020 (T.Watanabe, K. Sugimura, Risa Fukuda, Hiroshi Furusawa, J. Tanefuji, and T. Yamaguchi ) 」の題目、そして「Search of the origins of the Soja bean in Japan (Risa Fukuda, Takashi. Watanabe, and Hiroshi Furusawa 」の題目で、学会発表を行いました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツルマメが生息している周辺には藪豆(ヤブマメ)も発見された。両者の外見は、一見類似しているように見えた。しかし、葉の形状やトライコームに相違点が見られた。ツルマメの葉の形状は全体的に角がなく、丸みをおびていた。トライコームは細かく手触りも滑らかであった。一方、藪豆は葉先部分が細くとがっており、トライコームは荒く肌触りも粗かった。第3回のツルマメ調査の際と比較すると、莢の色は黒味を帯びた茶色になっており、一部の莢は開裂し、周囲に種子が飛散していました。種子の色は黒色であり、ツルマメの種子の直径は約4mmで、大豆の約2分の1の大きさでした。今回の調査では、ツルマメの種子のみを採取することとしました。藪豆の種子も採取し、両者を比較しましたが、大きさや色に差異は見られませんでした。 こうした一連の細かい観察により、ツルマメの特性をほぼ把握することができた。一年目の成果としては、在来の大豆(固定種)とツルマメの遺伝的な違い、そしてツルマメが生息する自然環境を指標として、ダイズのGIS技術による在来種の遺伝的特性に関する起原解明と機能性食品素材評価研究を行うための、基礎データの構築と試料の入手(在来固定品種24種及びツルマメ3箇所6試料)に成功したことから、概ね順調に推進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
大豆試料については、熊本大学薬学部薬草パーク内の試験圃場で鉢植え発芽させ、地上部の葉の成長を待ってから10枚ほど葉を採取し、DNAの抽出を行う。さらにツルマもフィールドで採集した試料を用いて、同様にDNAの抽出を行い、シークエンスをかけたのち、遺伝的距離を測るための実験を行う。一時保管していた残された種子を実験用試料として、タンパク質(栄養表示分析、特にアミノ酸の含有量については、在来の古い種のみ分析する予定)の分析として、特にダイゼイン、フラボノイド、イソフラボノイドのパターン化を構築する。 目標としては、在来種(固定)の遺伝的特性に関する起原解明を行うために、ツルマメを指標として、化学的、遺伝的、そして主要成分の活性評価を行い、総合的に比較検討し、在来品種の機能性食品素材に関する品質評価を行いたい。 さらに、GIS技術を用いて、在来ダイズ(固定種)の遺伝的特性研究を通して起原を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
継続研究中のため(次年度は、品質評価のために活性評価試薬キットと全ゲノム解析により、野生種と在来品種(固定種)のとの遺伝的な違いを測り、品種間の距離を解明する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)全ゲノム解析形跡のための解析外注 2)アレルゲンとなるタンパク質の解明のために、キットの購入、3)ダイズ成分の標準品の購入
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Research Products
(5 results)