2016 Fiscal Year Research-status Report
シス・トランス型脂肪酸等の新規高精度分析法による食品の汚染実態及び健康影響の解明
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16K12744
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 教授 (10213729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランス脂肪酸 / 非意図的生成物 / 食品汚染 / シス・トランス混合型脂肪酸 / 健康影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、現在までα-リノレン酸(n-3系)のシス-トランス混合型脂肪酸標準品が未市販であったことより、α-リノレン酸の標準品をトランス化反応させた試料を用いて、銀イオンカラムを2本連結・装着したリサイクルバルブ・HPLC法を用いて、オールシス体を除くα-リノレン酸のトランス体とシス-トランス混合体7種の合成・精製に成功した。また、各精製試料は、高分解能GC/MS及びNMR解析に供し、それら試料の同定にも成功した。 次に、上記の精製・同定した標準品を組み込んだ高分解能GC/MSによる高精度分析法の構築を試みた。具体的には、研究代表者が作成した オレイン酸(n-9系)、リノール酸(n-6系)とα-リノレン酸のトランス型及びシス-トランス混合型脂肪酸(以下、トランス脂肪酸等)の3つの脂肪酸異性体の計14種(シス体を含むC18:1△9;2種、C18:2△9,12;4種、C18:3△9,12,15;8種)に、44種の市販脂肪酸標準品を加えた、全59種類の脂肪酸の新規高精度型脂肪酸分析法の構築を試みたところ、極めて精度良く定量可能な分析法を開発することができた。その際、興味深い深いことには、分析した母乳試料中に上記3種のシス・トランス型の脂肪酸が高濃度で検出されたことであった。さらに、市販食品についても調査したところ、市販のカレーや調理パンにおいても、高濃度のトランス脂肪酸が観察されたことであった。 今後の計画としては、日本人の真のトランス脂肪酸等の1日摂取量および健康影響の解明を目的として、種々の市販食品や食事試料のほか、調理過程で非意図的に生成するトランス脂肪酸の生成機序について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況については、α-リノレン酸の一部異性体の生成・同定に手間どったものの、概ね順調に進展している。今後の計画についても、上記同様、不測の事態が起こることも想定し、平成28年度の計画見積もりを再検討し、平成29年度の詳細な研究計画を立案し、4月より精力的に研究を推進させる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の推進方策としては、前年度の計画の進捗状況や改善点を精査し、必要な修正を加え、研究課題の完全遂行を目指す。既に、本年度の計画予定の大阪府内のスーパーにて、a) 国内外の製造会社等が異なるマーガリンやショートニング等の市販硬化油(20品目)、b) 国内外の反芻動物由来のチーズ、牛乳等の乳製品(10品目)、c) その他、大量の油脂類及び食肉類等を使用した市販加工食品(20品目;フライドポテト、コンビーフ・オイルサーディン等の缶詰類、調理パン・ケーキ、各種レトルト食品)を購入済みであり、またそれら試料の一部については、分析定量が終了している。同様に、調理過程で非意図的に生成する食用油中のトランス脂肪酸等の生成機構の検討についても、各調理段階の試料については調製済みであり、あとはそれら試料について精力的に分析を行っていくだけである。
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Research Products
(17 results)