2016 Fiscal Year Research-status Report
探究的指導法を軸として高校物理授業の課題点を明らかにする4カ国比較研究
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16K12752
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土佐 幸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40720959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 恭子 玉川大学, 教育学部, 教授 (50467130)
笠 潤平 香川大学, 教育学部, 教授 (80452663)
熊野 善介 静岡大学, 教育学部, 教授 (90252155)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高等学校物理授業 / 国際比較研究 / アクティブ・ラーニング / 教授法の開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
①H29年1月と2月に東京・埼玉・新潟において、インドネシアの研究者1名を含む研究者4名と大学院生1名が8つの授業参観と教員インタビューを行った。また、3月にはインドネシアにおいて研究者4名が6つの授業参観と教員インタビューを行った。準備研究で行ったデータと併せ、これで日本10、インドネシア10の授業参観データと教員インタビューデータがそろった。 ②データ収集時に研究者打ち合わせを数回行い、分析方法に関する議論と今後の予定について協議した。特に、データ分析にはReformed Teaching Observation Protocol (RTOP)と呼ばれる指標を用いる予定であるが、この指標について、何をどのように明らかにするものかについて共通理解を図った。また、それぞれの大学で大学院生や研究補助員も含め基準に基づいた分析ができるように、RTOPによる分析のトレーニングについて、情報を共有した。 ③高校物理の国際比較研究について、代表者が日米教員養成協議会(JUSTEC)年次会(11月愛媛大学にて開催)と日本物理学会年次会(3月大阪大学にて開催)において、研究から得られた知見を発表した。 ④H29年3月4日に新潟大学において第3回物理のアクティブラーニングとレッスンスタディのシンポジウムを開催し、全国から31名の参加者があったが、内10名は高校物理教員であった。シンポジウムで行われた高校教員による相互作用型講義実験(ILDs)の実践についての発表では、高校授業にアクティブ・ラーニングを取り入れる際に、大学の講義と違ってどのような課題があるかが議論され、参考になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①日本とインドネシアにおけるデータ収集を終えることができたのは大きな進歩だった。日本でもインドネシアでも、ビデオ撮影を含めた授業参観と教員インタビューに協力してくれる高校と教員を確保することは容易でなかった。また、研究者の予定と合わせた日程調整も容易でなかったが、日本・インドネシアの研究協力者の支援があって、予定していた数のデータを集めることができた。 ②本格的なデータ分析はH29年度に行う予定だが、日本のデータについて試験的な分析を代表者が行い、生徒の話し合いは含まれていながら、基本的に教師主導型の授業構成であることが明らかになった(日本物理学会で発表)。さらに、小中学校の理科授業と異なり、授業のねらいが不明確な授業が多く見られた。このような授業デザインの欠如について、教員インタビューや質問紙調査の結果との照らし合わせを行う必要がある。質問紙調査はオンラインのアンケート準備が整わず、実施が遅れているが、時期をそろえて近日中に行う予定である。談話分析や研究結果に基づく指導法の提案もH29年度の活動となる。 ③データ収集時に研究者が一同に会し、打ち合わせをすることができた。分析指標の内容やトレーニングについて共通理解を図ることができたので、今後の分析作業は問題なく進められるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①授業参観データの分析を進める:RTOPによる分析をそれぞれの研究者が独立に行い、その結果のすり合わせを行う。合意の得られた分析結果を統計的に分析し、日本とインドネシアの高校物理授業の特徴を明らかにする。さらに、先行研究で得られた米国と中国のデータとも比較し、4国の高校物理授業の特徴を明らかにする。 ②教員インタビューデータと授業データの質的分析を行い、科学的概念の説明や発問の仕方などの教科内容構成学的要素を詳細に検討する。さらに、質問紙調査データの定量的分析を行い、教員の意識について、日本とインドネシアの特徴を明らかにする。それらの分析結果を基に、上に記した日本の高校物理における授業デザインの欠如について、その原因を探る。 ③研究から得られた知見に基づき、高校物理の授業改善を図る方略を提言する。その提言を、教員研修・講習会を通じて現職教員に、また大学の講義を通して教員養成課程にある学生に広める。すでに代表者は7月に岡山県で高校物理教員を対象に、また新潟市でも11月に講演を行う予定である。国内外の学会における発表も積極的に行う予定である。代表者は7月に米国物理教師学会(AAPT)の夏の大会(7月にシンシナチ大学にて開催)で、またJUSTEC年次会(9月にハワイ大学にて開催)で日米の高校物理授業比較について発表予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額となっている235,676円は、既に3月中に執行完了し手続は 完了しているが、支払が4月になったため、未使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月中に執行済み
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Research Products
(6 results)