2016 Fiscal Year Research-status Report
顔認識技術を応用した野生霊長類の観察システムの構築
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16K12757
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 将敬 大阪大学, 人間科学研究科, 特任研究員 (30737432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 和憲 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30345798)
山田 一憲 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (80506999)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 霊長類 / 個体識別 / 人工知能 / ディープラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類は同じ種に属していても,個体の顔はそれぞれ異なっている。霊長類研究者は,一頭一頭異なる個体の顔を識別することによって,個体間に血縁関係や順位関係といった社会関係があることや,同じ集団内にも性格に個体差があることを明らかにしてきた。霊長類の行動を研究するためには,長い時間をかけて繰り返し個体を観察して個体識別を行う必要がある。しかし,集団で生活する霊長類の個体識別を習得するためには多くの時間と労力を必要とする。本研究課題では,ニホンザルの画像や動画をもとに,個体識別を瞬時に行うことのできる装置の開発を目指している。 岡山県真庭市神庭の滝自然公園付近に生息する勝山ニホンザル集団,兵庫県洲本市に生息する淡路島ニホンザル集団,及びインターネット上のニホンザル画像をもとに,ベイズの定理に基づいて逐次に状態推定を行うパーティクルフィルタと抽象化能力に優れるディープラーニングを組み合わせ,動画像中のニホンザルの追跡と,ニホンザルの顔画像から個体識別を行うプログラムを作成した。そのプログラムによって動画中のニホンザルの識別を行えるかどうかを検討したところ,勝山ニホンザル集団における4歳齢以上の66個体に関して,頑健な追跡が可能であることが確認されたが,顔情報による個体識別には課題があることが分かった。以上の研究成果は、早稲田大学で開催された第64回日本生態学会大会において2017年3月16日に発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,霊長類の個体識別を瞬時に行うことのできる装置の開発を目指している。本年度作成したプログラムでは,ニホンザルの識別と個体追跡は頑健に行うことができたが,各個体の識別に改善の余地がある。個体識別の精度が低くなった原因として,先行研究に比べてデータ数が少ないことがあげられる。2017年度にデータをさらに収集することによって,より頑健な個体識別を行えると期待される。以上のように,本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で開発している個体識別プログラムを実際に運用するためには、そのプログラムが,ニホンザルとヒトを含む他の動物を区別できる必要がある。今後は、日本各地の動物園において、様々な動物の画像や動画を収集し、プログラムによるニホンザルの識別をより頑健にする。また、個体識別をより頑健にするために、ニホンザルの画像や動画を新たに収集し、顔情報だけでなく、全身の情報を用いたプログラムを作成する。
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Research Products
(1 results)