2016 Fiscal Year Research-status Report
新しい生命科学教育の根幹を担う日本独自の学際的幼児教育プログラムの開発
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16K12769
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
大貫 麻美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40531166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石上 七鞘 松蔭大学, コミュニケーション文化学部, 教授 (10151359)
渡邉 淳 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10307952)
瀧上 豊 関東学園大学, 経済学部, 教授 (40206909)
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60322856)
白鳥 信義 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (80720846)
古金 悦子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (90592410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生命科学教育 / 幼児教育プログラム / 生物の共通性と多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の幼児教育で活用可能な新しい生命科学教育プログラムの開発である。本研究では学際的な立場から、日本の文化的背景に根差しながら、国際的に重視される「ヒトについての科学的理解」を育む幼児教育プログラムを立案することにある。 先行研究では、「光とかげ」や「空気の存在」について、自然科学に関する直接体験と絵本の読み聞かせとを融合した「理科読」プログラムが、幼児の科学的思考の萌芽に働きかける様子を明らかにしてきた。 本研究では、まず、生命科学領域においても「理科読」プログラムが先行研究と同様に、幼年期の子どもがもつ科学的思考の萌芽を表出したり、そこに働きかけたりすることを確認するために、「生物の多様性と共通性」を大きなテーマとして、日本文化に関係の深い柑橘類を教材とした「理科読」プログラム(Ohnuki, Haraguchi, et. al., 2016)と、生命活動に必須である水を題材とした「理科読」プログラム(土井・大貫, 2016)を開発した。それらの実践的研究により、生命科学領域においても、「理科読」プログラムにより幼児に科学的思考の萌芽がみられることや、その成長がみられることが明らかになったため、次に「ヒトについての科学的理解」を基盤とした幼児教育プログラムの開発を行った。まず、卒園までに園児の多くが体験する乳歯から永久歯への生え変わりに着目し、「歯」を教材とした「理科読」プログラム(4・5歳児対象)を開発し、試行した。本プログラムについては、平成29年度に複数の保育所にて実践調査し、分析を進める予定である。生命科学領域に関するその他の「理科読」プログラムについても、平成28年度内に開発に着手している。平成29年度内にそれらの開発を終え、実践調査に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴い研究体制の再整備等に時間を要したため、研究開始に遅れが生じた。そのため、全体協議にて決定した幼児教育プログラムの開発作業のうち、一部の幼児教育プログラムがまだ検討段階にある。 しかし、平成28年度内に以下の成果を上げることができた。まず、柑橘類を題材として生物の共通性と多様性への気づきを促す幼児教育プログラムや、水に関する科学的概念の構築を促す幼児教育プログラムを開発した。それらについて事例研究を行うことで、生命科学領域においても、「理科読」プログラムにより幼児がもつ科学的思考の萌芽やその成長が見られることを確認した。その後、「ヒトの科学的理解」を基盤とする生命科学領域の理科読プログラムの開発に着手した。開発の終わった「歯」に関する幼児教育プログラムについては、平成28年度に試行し、平成29年度に実践的研究を進め、平成29年夏に学会発表にて一部成果の報告を行う予定となっている。そのほかの幼児教育プログラムについても開発作業が進んでおり、平成29年度内には実践段階に移行することができる。 全体としては、やや遅れているが着実に成果が示されつつあるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ開発の終わっていない幼児教育プログラムについては、平成29年度内の早い時期に開発を終了し、実践段階へ移行する予定である。予算等の関係で、当初案よりも全体協議会の開催回数を減らす必要があるので、実施と直結した部会協議やインターネット上での協議を多くすることで、円滑なプログラム開発・実践・研究を進めていく。 昨年度に既に実施した幼児教育プログラムを含めた複数の幼児教育プログラムについて、研究協力を得られた複数の保育所等で実践を行い、収集したデータを基にプログラムの成果を分析するとともに、修正の必要性の有無を確認し、必要に応じて改変する。 平成28年度中に、試験的な調査を行った「歯」に関する幼児教育プログラムについては、平成29年度内に複数施設にて実践を行い、検証したうえで、その成果を平成29年度内に学会発表等で公開することを予定している。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属変更等に伴い、研究体制の再整備に時間がかかったため、研究開始時期が想定より遅くなり、研究活動の全体的な進行が予定より少し遅れている。そのため、プログラム開発、事例研究およびその成果報告にかかる研究経費が一部、次年度使用額となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年次に行う予定であったプログラム開発、事例研究およびその成果報告にかかる研究経費が、研究の進行の遅れに伴い、一部、次年度使用額となっている。これらは当初の予定通りに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)