2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12799
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 晋 京都大学, 文学研究科, 教授 (40156443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 数学基礎論史 / 生命科学 / 社会グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目は、フランス語圏の関連史料を調査した。その結果、昨年の報告に書いた通り、フランス語圏にもイグノラビムス論の影響があることを示す史料を発見したものの、肝心の数学との関係を示す史料が見つからなかった。本来の目的は、生物学などの、多分野を経由して、失われたクロネッカー史料などの欠落を補填するというものなので、数学との関連が蜜からねば、発見した史料も意味を持たない。 そのため、計画を立案した際の方針に戻し、ドイツ語圏の生命科学、特に生理学・発生学関係の学者と、数学基礎論に関係する数学者の関係を示す史料の発見を試みた。 しかし、ベルリン流の生理学をスイスに移植した生理学者ヒューゴ・クロネッカーの兄であるレオポルト・クロネッカーが、有名なナポリの生物学研究所Stazione zoologica di Napoli を短期間訪問していることが分かったものの、その目的など不明であった。ただ、この研究所がナポリに設置された理由が、ナポリという都市の風光明媚さに関わっていたらしいことがわかったため、あまり重要な訪問でない可能性が高い。 この「発見」が象徴しているように、研究当初に期待していた、生命科学の研究者と数学者のインタラクションを示す史料は、殆ど見つからず、また、ヒューゴ・クロネッカー関連のアーカイブも存在しないらしいことが、調査の結果、判明した。 このため社会学グラフのための、上記のデータや、当初判明していた、ヒューゴとレオポルトの関係など、既知のもの程度しか得ることができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
フランス語を理解する研究員を確保できたために、一年目に当初予定していなかったフランス語史料に手を出したが、イグノラビムス論の影響がフランスの生物学などにもあることが判明したものの、肝心の数学との関連性を示す歴史資料を見つけることができなかった。このため今年度は、当初の予定どおり、ドイツ語史料を主に探ったが、実績にも書いたように、存在を期待していた歴史資料が、殆ど見つからない。
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Strategy for Future Research Activity |
恐らくは期待していた様な史料は、ほとんど存在しないのではないかと、現在は、考えている。また、雇用していた研究員が兵庫県の大学に就職し、他に適任者がいないこともあり、時間がかかる史料調査を自分だけで行うことになった。そのため、数学史料の不在を、数学以外の分野を経緯して補填するという当初の計画は断念し、第一目的を、social graph を使う数学史研究という、当初計画の、もう一つの目的に変更することにした。具体的には、既知の、また、代表者の一次史料研究で発見されたが、未発表の数学基礎論史のデータを、出来るだけ多数、social graph tool に入力し、それにより新しい知見が、tool の機能により得られないかを検証する。
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