2017 Fiscal Year Annual Research Report
Trace elements in plant for reconstruct the provenance and agricultural management in the past
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16K12806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動植物遺存体・人骨 / 微量元素 / 産地推定 / 栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
汚染をさけるために、通常はクリーンルームで分解などの前処理を行うことが多い微量元素分析について、通常の実験室に設置したクリーンヒュームドラフト内での処理が可能であるかを検討した。とくに高精度の分析が可能であり汚染の影響を受けやすいストロンチウム同位体の標準物質を用いて検討したところ、ほぼ汚染の影響はみられないことが確認できた。次に、植物資料における生理的な変動に起因する指標を確立するために、国立歴史民俗博物館くらしの植物苑で栽培された穀類、豆類、堅果類について、微量元素と炭素・窒素同位体比ならびに個別アミノ酸の窒素同位体比を測定を実施した。水稲については、資料入手ができなかったので別途、無施肥条件での栽培実験試料を対象に測定を実施した。微量元素分析では、豆類。堅果類、微量元素での区別ができる可能性が示された。穀物では亜鉛濃度が高く、栽培品種の豆や堅果類と大きくことなる。ただし野生ツルマメは穀物と同程度の亜鉛濃度が高い。ストロンチウムとバリウムに着目すると、堅果類と豆類で高い傾向が示された。ここでも、ツルマメが栽培種とは異なる特徴があることが示されているので、豆類への栽培化の影響はさらに検討することが必要であると明らかになった。 一方、炭素・窒素同位体比では、水稲が高い窒素同位体比を示すが変動も大きいことが示された。水稲の窒素同位体比の上昇は、アミノ酸によっと異なる可能性が示唆されたので、条件をふってさらに検討すれば、水稲についても同位体による定量的な基準を確立できる可能性が示唆された。アミノ酸レベルの特徴でもグルタミン酸で水稲は他の植物とは異なる窒素同位体比を示す傾向が示唆され、水稲利用の新たな指標の候補になる可能性がある。
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