2016 Fiscal Year Research-status Report
衝撃成形による金属製新規レプリカ標本制作の試みと技術応用の検討
Project/Area Number |
16K12815
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
嶽本 あゆみ 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 准教授 (60505858)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衝撃成形 / エキスプログラフィ / Explography / バリアフリー標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝撃成形レプリカ原型試料について、植物葉(シダ、ササ、カエデ、イチョウ等)、昆虫(トンボ)翅、鳥類(キジバト)羽毛などの平面的な部位を原型試料とし、0.2mm厚のアルミニウム板を用い、衝撃波圧力120MPa程度による標本製作を行った。なお動物・昆虫に由来する原型試料については、生きている個体の採集は行わっておらず、羽毛や翅などの落下物等を採集したものである。 標本作製にあたっては、金属板表面への試料の固定方法や、効果的な衝撃圧の利用のための真空パック処理が仕上がりに大きく影響することがわかった。特に、試料の固定に用いたノリまでもが金属板に転写されることが判明し、転写の細密さが伺えるものとなっている。 前述の衝撃波成形レプリカ標本(雄型面ならびに雌型面)ならびに原型試料について、イチョウを試料としたサンプルを、走査型電子顕微鏡を用いて表面構造観察を行った。金属板にレプリカとして反映された細胞を計測・比較したところ、0.2mm厚アルミニウム板・120MPaの衝撃波圧力の場合は、レプリカの雌型面での細胞転写がほぼ80%であることが分かった。なお本内容は、2016年12月に横浜市にて開催され第26回日本MRS年次大会で「衝撃成形による金属製新規レプリカ標本制作 New Replica Specimen Production using the Shock Wave Metal Molding」のタイトルで口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衝撃成形による標本作製は順調に進行している。また走査型電子顕微鏡によるレプリカ標本の雄型面ならびに雌型面の表面観察も行い、変形状況の把握も進行している。データの統計処理による評価には、データ数をより蓄積する必要があるので、平成29年度に引き続き実施する。金属素材についてはアルミニウムと銅が主体となっているが、より展性の高い金などの比較的高価な金属素材は処理条件を絞り込んだ上で平成29年度に引き続き実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き標本の作製を進行する。また、本研究の独自性を高めるために沖縄県固有種の標本を作製する。そのため外来種の多い沖縄本島だけでなく、久米島などの離島での原型試料採集を行う。細密に写し取られたレプリカ標本を原型としてアクリル樹脂等を素材とした二次加工の可能性を検討するため、試作を行う。構造色の再現には微細な位置調整が必要なため時間を要すると考えられるが、構造色再現に関しても検討を行っていく。より厚みのある金属素材を使用することで、視覚障碍者が手に取り構造を知ることができるバリアフリー標本としての活用にも検討を行うため、爆轟による衝撃波を活用した標本作製の実験を重ねていく。これらの成果を、積極的に大概発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたハイビジョンマイクロスコープならびに微動スタンドについて、本研究ではより安価なHDMIデジタル顕微鏡で十分な情報が得られることが分かっため、購入内容を変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
沖縄県固有種の試料採集のための旅費等の経費ならびに金属試料の塑性加工性を上げるためのなまし処理のための経費として使用する。
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