2016 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアのメガシティにおけるアーバン・ボリュームと生態系サービスの変容
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16K12816
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村山 祐司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (30182140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ESTOQUE RONALDC 筑波大学, 生命環境系, 研究員 (60760139) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GIS / メガシティ / 生態系サービス / アーバンボリューム / 東南アジア / 水平的拡大 / 垂直的拡大 / 都市化 |
Outline of Annual Research Achievements |
建造物や樹木の高さ・容積を高精細衛星画像から自動的に取得する手法を開発するとともに,それを用いてメガシティが有する「総合的都市力」を客観的に評価する方法を確立することを課題とした. 本年度の前半は,従来の研究を系統的に渉猟しながら,リモートセンシングと地理情報システムを援用してアーバン・ボリュームを導出する手法の構築に努めた. 農地転用や樹木の伐採といった緑地の減少は,アメニティ・生活魅力度の低下を招き,都市の活力を弱める遠因と考えられる.本年度の後半は,生態系サービスに関する従来の研究をサーベイし,その予測モデル構築の可能性を検討した.ついで,メガシティを対象に実証分析を行って,実際のアーバン・ボリュームを求めるとともに,エコシステムの変動を分析した.なお,土地利用の分類は,30m解像度のLANDSATデータにニューラルネットワークを用いた教師付分類を適用し導いた. 小集落レベルにおいて,個々の建物や施設のボリュームを建物毎に測定するとともに,緑地のボリュームを測定することを目的に,ドローンを援用したフィールドワーク実験を実施した.その結果,建物や木々の高さが正確かつ効率的に測定できることがわかり,ミクロレベルにおける本手法の有用性を確認した. アーバン・ボリューム概念を導入することによって,「建造物の容積の変化で示される経済発展」と「樹木・草地の面積・容積の変化で示される自然環境の衰退」というトレードオフ関係を科学的に把握できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
東南アジアにおける都市化は著しく,景観的にも機能的にも大きく変化している.都市の水平的拡大,垂直的拡大を定量的に把握する手法を確立することを本年度の目標の一つに据えたが,地理情報科学やリモートセンシング,写真測量を援用した従来の研究を渉猟することにより,本研究のフレームワークを平成28年の秋には構築することができた.つぎに,JAXAの協力によってALOSデータを入手でき,2017年2月には,実験地域においてアーバンボリュームを算出し,この手法の有効性を確認できた.平成29年3月からは,東京,上海,マニラ,スラバヤなどを対象にアーバンボリュームの算出とその同定を行っている.これらの作業の一部は,平成29年度に予定していたものである.したがって,現在,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に導出したメガシティのアーバンボリュームとその変容プロセスをもとに,現地調査やデータ解析を通して,その水平的,垂直的拡大をもたらした要因について定量的,定性的に明らかにする.分析結果を踏まえて,将来の垂直的・水平的都市化を予測する技法を構築するとともに,東南アジアのメガシティを対象にアーバンボリュームの実証分析を行う.さらに,メガシティにおけるエコシステムサービスの動向,および将来のアーバンボリュームを推定する手法の開発も行う.分析対象は,都市属性データの入手可能性を考慮し,アジアの3~4都市に絞る.
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Causes of Carryover |
地理空間データの分析をおこなうために予定した短期雇用を確保できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
地理空間データの分析をおこなうために,人件費・謝金に用いる.
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