2019 Fiscal Year Annual Research Report
Significance and sustainability in the global environment study of 'land use for deceased'
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16K12820
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
土居 晴洋 大分大学, 教育学部, 教授 (40197992)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 土地利用 / 地理学 / 人口増加 / 経済成長 / 政策 / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,人類にとって普遍的な行為である「人の死の弔い」を,土地資源の利用の観点から捉え,中国における土地資源と埋葬の形態や慣習に関わる経済的・社会的・文化的要因を把握することで,「死者のための土地利用」の形成メカニズムと持続可能性を考察した。主な研究実績は以下の通りである。 (1)20世紀半ば以降の中国の葬儀や埋葬(以下,殯葬)の慣習の変化やその改革政策の進展に関して,文献資料や統計データなどの経年的資料を収集した。また,『中国民政統計年鑑』をもとに,省単位の経年的公墓数等を整理し,殯葬改革の地域的差違を考察した。その結果,北京市などの大都市圏や沿海地域の諸省などの経済発展地域において,火葬化の進展や公墓数の増加が大きいことが明らかとなった。 (2)中国においては,北京市と広州市において現地調査を実施した。両市共に複数の公墓において墓地内の配置や歴史的経緯などの資料を収集した。特に北京市においては,地誌書等をもとに,20世紀半ば以降の殯葬改革は都市圏における地域構造に対応して進展したことが確認された。 (3)北京市において,20世紀半ばと現代の墓地の位置を特定し墓地面積の変化をGISを活用して推定した。20世紀半ばは同時期に発行された外邦図などの地図資料をもとに,現代については衛星画像から墓地の広がりを特定した。その結果,人口当たりの墓地面積は両時点で大きな差違は認められなかった。現代では海上散骨などの土地資源節約型の埋葬が政策的に推進されているにも関わらず,死亡者数増加と生活水準の向上によって,墓地需要の増加と風水適地での開発が加速し,「死後の土地利用」による土地資源への圧力は低下していないといえる。 なお,「死後の土地利用」の通文化的比較を念頭に,日本(東京都市圏)と台湾(台北都市圏)の20世紀半ばと現代の墓地等に関する文献・統計・地図資料の収集を進めてきた。
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