2016 Fiscal Year Research-status Report
自然界における周期性の自発的パターン形成機構解明と社会システム設計への合理的応用
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16K12823
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 太裕 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00344482)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 空間周期性 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然界には植物が生み出す機能美や、自然発生的に生じる現象として「周期的なパターン」がさまざまなものに自発的に生じ、そこには全て合理的な理由があると考えられる。 本研究は主に力学的側面から自然界に潜むさまざまな周期性に着目し、その発生メカニズムを理論的に解明するとともに、得られた知見を合理的な社会システム設計技術・設計思想への応用していくことを目指すものである。それを実現するためにこの2年間で、高度な構造力学理論を用いて、理論数理モデル構築を基礎とする周期特性の記述に挑戦することを計画した。初年度である平成28年度は生物形態にみられる周期性と、自然発生的に生じる周期性の双方についてさまざまな事例を検証するとともに、構造安定論の観点からその周期性の定式化を試みた。その結果、野菜・果実などに存在する周期的なしわや螺旋形態をとる構造の原因とされる不安定モードに存在する統一的なルールを見出した。また竹の節の軸方向配列に着目し、その中で中空円筒構造の最適な補剛設計のヒントとなりうる合理的なルールを発見した。さらに未舗装路などで自然発生的に生じる周期的な凹凸(Washboard road)の発生メカニズムについても数値解析的な検討を実施し、その原因となるパラメータを検証した。これらの成果はすでにその一部を国際学術論文、国内学会発表で外部公表しており、次年度に向けた予備的な検討も既に実施している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度よりすでに外部公表できる成果を上げることができ、次年度に向け更に研究計画を進展できる目途が立っていることから、上記の自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、平成28年度で得られた知見を基に自然界の周期特性の機構解明に取り組む。また並行して科研費国際共同研究強化により、平成29年度は英国ケンブリッジ大学に滞在を予定している。現地での共同研究成果を本研究にも反映させる計画であり、更に研究を発展させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度より科研費国際共同研究強化が新たに交付されることになり、韓国仁川大学校での国際共同研究を実施した。本研究の進展にも繋がる滞在であったが、これにより本研究の予算執行計画が大きく変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる平成29年度に研究成果の公表を積極的に行う予定であり、その費用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)