2016 Fiscal Year Research-status Report
火山噴火時における避難施設の適正な配置計画に関する数理モデルの開発とその応用
Project/Area Number |
16K12828
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 健一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90408724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 火山災害 / 避難施設 / 最適配置問題 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
火山噴火の際に,登山者が安全に避難するための施設を適切に配置するための数理モデルの開発を行った.噴火時の噴石から身を守るための避難壕(シェルター)に着目し,複数の避難壕を同時に配置する際に,退避壕に安全に避難可能な人数の期待値を目的関数(評価尺度)として設定し,これを最大化する配置モデルを構築した.噴石の飛来の仕方は,対象空間上にランダムに出現する点を扱う確率モデルである空間ポアソン分布を用いて表現し,登山者にとって避難成功確率が最大となる施設に避難すると仮定した.ネットワーク上のある地点から他の指定された地点までの最も安全な避難経路を探索する問題は,ネットワークの各リンクに空間ポアソン分布の強度パラメータを設定した場合の最短経路問題に帰着できる点に着目した.その上で,ネットワーク上に避難対象者の分布が与えられた場合に,避難成功者数最大化モデル,避難成功確率の最小値の最大化モデル,集合カバーモデル(所与の避難成功確率を実現するための最小の施設数とその配置方法を決定する問題)を設定し,整数計画問題としての定式化を行った.これらのモデルを仮想的な登山道のネットワークに適用し,最適配置結果の特徴を整理した.また,モデルの拡張として,噴石の飛来や避難者の避難行動を動的に表現するための時空間ネットワークを用いたモデル化について検討した.また,実際の山岳の登山道ネットワークデータの構築を行い,実証分析のための準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
避難施設の最適配置モデルの構築について,当初予定した方針で整数計画問題としての定式化を示すことができた.また,時間軸を導入したモデルの拡張についても,土台となる数理モデルの開発に成功している.さらに,仮想ネットワークへのモデルの適用を行っており,実データへの適用についても登山道ネットワークデータの構築等を通じて準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
時間軸を導入した拡張モデルについて,さらに研究を進める.時空間ネットワーク上での定式化は,問題規模が大きくなりがちであるため,実データを用いた大規模問題の分析を早い段階で重点的に進める予定である.また,問題規模が大きく汎用の数理計画ソルバーでの計算が難しい場合には,問題固有の特徴を考慮した解法を作成する.さらに,登山者の分布の与え方や避難の際の移動速度の設定方法などについても様々な角度から検討する必要がある.
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに支出した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金は出張旅費等に当てる予定である.
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