2016 Fiscal Year Research-status Report
ディープ・ラーニングによる地震被害建物画像の機械学習と被災度の自動認識
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16K12834
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松岡 昌志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (80242311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地震被害 / 被災度判定 / 建物 / 現地写真 / ディープラーニング / 阪神・淡路大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震被害調査で得られた建物被害に係わるデータを収集について,1995年阪神・淡路大震災の被害集中帯の中でも,1棟ごとの被災度情報が得られている西宮市全域を対象地域とし,西宮Built Environment DB(以後,西宮DBと呼ぶ)を利用し,深層学習のための被災度情報は西宮DBに含まれる西宮市り災調査データを用いた。これは「全壊」,「半壊」,「一部損壊」,「無被害」の4段階に分けられていたが,本研究では初期的な検討として,「半壊」,「一部損壊」,「無被害」を被災度「その他」として統合し,「全壊」と「その他」を用いた。建物外観写真の切り出しについては,建物ポリゴンと現地写真,写真撮影ポイントから現地写真の中心に写る建物を機械的に特定し,建物が画像の中心に来るように画像(1,024×1,024ピクセル)を切り出し,その後,256×256にリサイズした。「その他」のデータが「全壊」のデータより多かったため,「全壊」のデータ数と同じ数になるように「その他」のデータをランダムに抽出し,その中から8:2の割合で学習データ,検証データを抽出してデータセットを作成した(データ拡張なし)。また,過学習対策としてデータ数を20倍にさせたデータセットも作成した(データ拡張あり)。深層学習のアルゴリズムとして画像認識の分野で高精度な結果を残しているCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)を採用し,学習データにて学習させた後に検証データにて判別精度を検討した。その結果,データ拡張なしのデータセットでは過学習が発生し,データ拡張ありのデータセットは過学習の抑制を確認できた。判別精度はデータ拡張なしが54.8%,データ拡張ありが73.6%であり,後者は判別精度が19ポイント程度向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
西宮DBに含まれる現地写真について,撮影ポイントからの建物同定が機械的に実施することができたため,当初の想定よりも短時間に大量(データ拡張ありで,「全壊」,「その他」のラベルでそれぞれ約2万棟)のサンプル画像データセットを作成できた。また,次年度に実施予定の阪神・淡路大震災の航空写真の切り出しについても作業が済んでおり,航空写真の深層学習がすぐに実行可能な段階にきている。高分解能衛星画像の収集についても2011年東日本大震災の津波により流出した被害建物についてデータセットを作成しており,CNNの試行を済ませている。また,2016年に発生した熊本地震について,4月14日の前震後,4月16日の本震後に被災地を撮影した航空写真を収集し,さらに,1棟単位の建物被害判読を実施済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1995年阪神・淡路大震災の航空写真のデータセットにCNNを適用し,判別精度等を検討する。その際,現地写真の時と同様に過学習対策を施したデータセットも作成し,学習効果を確認する。また,2016年熊本地震の被災地を観測した航空写真(直下視および斜め視)から建物が写っている範囲を切り出し,被害程度をラベル付けしたデータセットを作成する。熊本地震の航空写真データセットにCNNを適用し,直下視と斜め視それぞれの判別精度について調べ,データセットの違いと判別可能な被災度区分の関係を明らかにする。さらに,地上で撮られた建物の被害写真と航空写真や衛星画像に写る建物の画像を同時に入力とした場合の,深層学習の性能を定量的に評価する。その際,学習性能の向上のために多層ニューロンのモデル最適化や誤認識対処のための改良を行う。そして,深層学習で判別可能な被災度区分と各種被害調査で必要な被災度区分の関係を調べ,本研究成果の実務適用への足掛かりを得る。
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Research Products
(3 results)