2018 Fiscal Year Research-status Report
組織的災害対応能力の定量的評価:事前対応型組織は柔軟性を高めるか
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16K12840
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
加藤 尊秋 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (20293079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 危機管理 / 事前対応 / 訓練 / 組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
おもな活動として、台湾の政権交代の影響で2018年度に先送りとなっていた台湾での調査を実施した。昨年度までに台湾・銘傳大学の研究者と準備した内容(対象自治体の選定、調査票の作成)が役だった。まず、台湾の自治体における危機管理の考え方を詳しく知るために2018年9月に地方部(新北市石門区)および都心部(台北市萬華区)の2つの自治体へのヒアリング調査を実施した。台湾の危機管理は、部署によって担当内容が異なるため、それぞれの自治体において防災を主管する課を含む5から6部門の担当者にヒアリングを行った。これにより、標準作業手順(Standard operating procedure: SOP)の具体的な内容と整備状況、また、実際の運用状況が詳細に把握できた。この結果を活かして前年度に作成した調査票を修正し、2018年12月に台湾・銘傳大学への委託により、郵送調査を実施した。都市規模や地理的条件を考慮して選定した自治体に調査票を送付し、40の自治体から回答を得た。結果の基本的な分析を行った。日本国内での活動については、以下のとおりである。まず、北九州市における医療連携訓練において標準化の効果を調べることについては、これまでの成果をまとめ、地震に関する国際会議で発表した。ただし、2018年度は当該訓練企画の中心である北九州市立八幡病院の新築移転が行われた関係で訓練自体は行われなかった。これについては、2019年7月に実施予定であり、そこでデータの取得と分析を行う。また、日本の全国の自治体に対する郵送調査については、2019年度初頭を予定しており、そのために台湾の自治体と比較可能な調査票を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾の自治体の災害対応組織に対するヒアリング調査、また、日本と台湾の自治体に対する質問紙調査について、平成30年度に台湾側の研究協力者と連携して実施する。実践的なデータ取得の核である北九州市の災害時医療連携体制整備のための図上訓練については、ひきつづき、実施主体である北九州市立八幡病院、北九州市医師会と連携をとり、3年目となる平成30年度もデータ取得ができるように準備を行う。これまでの成果を社会に広めるために学会発表と学術論文執筆を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
政権交代の影響で遅れていた台湾の自治体についての調査を2018年度後半に完了できたため、これと比較対照するための日本の自治体に対する調査を2019年5月を目標に実施する。また、北九州市ですすむ医療連携図上訓練の経過観察については、2019年7月20日に予定されている訓練で最終段階の観察とデータ取得を行う。これらをもとに事前対応組織の整備状況が災害対応活動の柔軟性に与える影響ついての考察を行い、学術発表、および論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
台湾の自治体に対する調査が政権交代の影響で2年ほど遅れたため、その後に実施する日本の自治体に対する調査も遅れ、実施が次年度となった。これが主な理由となり、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)