2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analyzing Circumstances of Tsunami Victim Deaths Using a Qualitative Survey
Project/Area Number |
16K12841
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
重川 希志依 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (10329576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 聡 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (90273523)
阿部 郁男 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (30564059)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 津波犠牲者 / 津波避難 / 釜石市消防団 / 田老地区 / エスノグラフィー / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は釜石市消防団員を対象とした東日本大震災時の災害対応エスノグラフィー調査結果に基づき、震災当時の消防団活動を取りまとめた既往の報告書等では記録されてこなかった暗黙知を抽出した。その結果、 1)消防団単独で同時多発火災の消火活動に成功し延焼火災から地域を守り抜いていた。また津波からの避難誘導や逃げ遅れ者の救助、行方不明者の捜索など多くの場面で常備消防と変わらぬ役割を担い成果をあげていた。2)消防団の本務である活動に加え、不足する薬の緊急調達や遺体の火葬場への搬送、防犯警備活動、燃料の調達、避難所の運営指揮など、事前に想定されていない多様な活動に当たっていた。3)遺体の火葬場への搬送に代表される誰も担い手のいない業務を、消防団が黙々とこなしていた。同時に、過酷な任に当たっていた団員に対しその後十分なケアが実施されることはなく、長期にわたり苦しむ団員が存在している。4)団員の生命・安全を守るため、津波からの退避ルールなどが検討されてきた。しかしながら団員にとっては未だに簡単に割り切って考えられる問題ではなく、「自分の命」「助けるべき人の命」「家族の存在」の間で葛藤を抱えている。5)消防・防災の専門的な知識を有する団員であるが、避難所となった場所で逃げ込んだ住民への的確な呼びかけ、周辺地域への協力依頼、対外交渉など消防の知識のみならず、人間力が非常に高い人材が多く存在していることが明らかとなった。 また、新たに東日本大震災の津波犠牲者4名のご遺族から詳細なヒアリング調査を実施し、エスノグラフィー調査の全文文字起こし原稿を作成した。さらに、研究当初から合わせて全14ケースの文字起こし原稿に編集を加えて、防災教育などに活用可能な形式のテキストを作成した。さらに作成したテキストを用い、津波防災教育に活用する方法論を検討した。
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Research Products
(3 results)