2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代コプロセッサの活用によるコミュニティ津波予報システムの構築
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16K12845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越村 俊一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50360847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波予報 / 格子ボルツマン法 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
津波浸水予測手法の次世代コプロセッサへの実装を目指し,解析プログラムの検討・開発を行った.具体的には,非線形長波式およびナビエ・ストークス式と等価な格子ボルツマン方程式を選択し,それを数値的に解く方法を採用して,コード開発,検証を行った.格子ボルツマン法による津波計算のアルゴリズムは,完全な陽解法で実施可能であり,次世代コプロセッサへでのシミュレーション実行も高効率となることを確認できた.具体的な成果は以下の通り.
多緩和時間モデルによる自由表面流れ解析手法を開発した.一検証として静水状態を保つシミュレーション行ったところ,格子BGKモデルに対して壁面境界条件の計算精度が向上し,水面を水平に保つことに成功した.また,ダムブレーク問題の再現計算を通じて,計算過程における流体の密度分布が滑らかとなり,自然な流体の挙動を,高精度に再現できることは分かった.
次に,格子ボルツマン方程式の外力項に着目した高精度化について検討を行った.本研究の手法を用いて2011年東北地方太平洋沖地震津波の再現計算を行ったところ,本手法は,従来の格子ボルツマン方程式と比較し,有限差分法の計算結果をよく再現することが可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代コプロセッサの仕様を踏まえて,その性能を効果的に活用できる計算法を検討し,その実証を行うことができたため,計画通り順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニティ津波予報に対する情報ニーズを,現行の津波予報精度上の課題整理,既往津波事例等の検討を踏まえて明らかにする.その上で,コミュニティ津波予報制度の要件と予報区の考え方,情報開示内容について検討し,その要件を満足するために必要な計算資源量を明らかにする.
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Causes of Carryover |
次世代コプロセッサの供給が遅れ,本研究で使用する計算プログラムに対して必要な仕様を確定することが遅れたため,当該年度の調達を遅らせたことが理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コプロセッサ(Xeon Phi)の購入・調達を実施し,研究計画に従い適切に使用する.
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