2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12857
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
古谷 元 富山県立大学, 工学部, 講師 (80378926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地すべり / 斜面崩壊 / 変形範囲 / 透水係数 / Squeezing-out / 模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の水槽と土槽を組み合わせた試験装置を用いて,地すべり(崩壊)土塊の堆積域を想定した水槽に珪砂試料を詰めて土層を作成し,飽和後に移動土塊を想定した15kgの砂利入りの土嚢袋を土層内で流下させて,模型レベルでのスクイージング現象の再現を試みた。使用した試料条件は,珪砂6~8号,6号と7号を1:1,および7号と8号を1:1で配合したものとした。計測項目は,土層の内部変形と土層底部における間隙水圧である。使用した計測機器類は,前者にはひずみ計,着色砂,およびマーカー,後者には圧力変換器である。試験装置内で発生したスクイージング現象は,1秒未満で終了したが,以下に示す幾つかの知見を得た。 水槽内の土層の変形範囲は,透水係数が小さいほどその範囲が大きく,形成するすべり面の本数も多い。すべり面が複数形成される際には,土塊(土嚢袋)が載荷された箇所から土層の一部がすべり面を形成しながら前方へ絞り出され,その前方で新たにすべり面を形成する挙動が確認できた。この挙動が生じる時に,過剰間隙水圧の上昇も前方へ伝播していると解釈できる結果も得られた。地盤の透水係数を簡易的に推定する方法として,クレーガーの方法とテイラーの方法がある。これらの方法によって見積もられる透水係数と,試験実施後に土層の一部でサンプリングした供試体に対して定水位透水試験を実施し,透水係数を計測した値を比較したところ,今回のケースでは,テイラーの方法によって推定された透水係数が実測値に近いことが判明された。 詳細な現象の把握をするために,2種類のメトローズを用いて水に粘性を与えて予察的な試験を開始した。この試験結果より過剰間隙水圧の消散が通常の水を使用した場合に比べて長いことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常の水を使用した場合における試験においては,計測方法に若干の改良が必要と思われるところもあったが,その他は概ね予定通り進んでいる。水に粘性を与えた条件下における試験では,メトローズ溶液による土層の変形と間隙水圧の挙動は通常の水を使用した場合と異なるが,本研究に最適な水の粘性度についてはまだ不明である(次年度以降の検討項目)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,1)複数濃度のメトローズ溶液を準備し,本研究に最適な濃度について検討する。この検討では,現象の持続時間を延ばし,数10Hzのサンプリングレートの記録器で詳細な動態計測が可能である濃度を探し出す。2)土層内の計測方法,および水槽の設置方法について検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に大型模型斜面崩壊実験が他研究機関で実施される予定であり,その一区画をスクイージング現象の確認のために使用できる可能性がでてきた。このようなチャンスは,より実物大に近い条件で実現象に迫れる絶好の機会と考えられた。そのため,この実験装置に合わせたセンサを作成することになったが,材料確保に時間を有することと,また,旅費が必要になるために繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月中旬に大型模型斜面崩壊実験が実施される予定であるので,この実験にかかる費用に使用する。
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