2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12857
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
古谷 元 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80378926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地すべり / 斜面崩壊 / 変形範囲 / 透水係数 / Squeezing-out / 模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず他研究機関の大型模型斜面(斜面長4m,土層深70cm,斜面角32゜,堆積域4m)を用いた人工降雨による崩壊実験を実施する機会を得たために,崩壊土砂堆積域に新たに作成したストレインプローブ(長さ70cm,センサピッチ10cm(6深度))を4箇所,埋設型間隙水圧計(4深度:20cmピッチ)を4箇所,そして画像解析用のマーカーを20cm間隔で設置し,堆積域おける土層の変形状況と間隙水圧の上昇過程を動的に計測した。この実験では,斜面は法尻付近で飽和して地表流が形成された後に,斜面上方へ進行する破壊が発生するとともに,法尻前方の土層に崩壊土砂が載荷され,堆積域での土層変形の進行が発生した事を確認した。この変形では,崩壊土砂が載荷される毎に新たな破壊面が形成され,最終的には少なくとも3本以上のすべり面が形成され,変形域は最初の載荷時に生じた範囲より約3m程拡大したことが計測された。また,過剰間隙水圧の上昇も,土砂の載荷に伴って前方へ伝播することが確認された。これらの結果より,昨年度実施した室内模型実験における堆積域での土層の変形状況に類似した結果となり,ほぼ実物大のスケールにおいてもスクイージングによる破壊の伝播を再現することができたと判断した。ついで昨年度より継続している室内模型実験においては,スクイージングの発生と堆積域での破壊の範囲は,透水係数との間に密接な関連性があることが分かった。メトローズ溶液により水の粘性を変えた試験については,粘性の違いによる過剰間隙水圧の消散に継続時間が長くなることが分かったが,土層変形の計測に関する感度にやや問題が生じることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,大型模型斜面を用いた崩壊実験を実施する機会を得て,当初の計画では知り得ない半実物大での現象を捉えることができた。また,本学所有の実験装置における実験では,スクイージングによる堆積域の土層変形に透水係数の違いが関連することも分かった。ただし,メトローズ溶液による模型実験については,適切な溶液濃度の設定までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,1)堆積域が不飽和状態でのスクイージング現象の再現を検討する。2)現象を詳細捉えるための最適なメトローズ溶液の濃度について検討する。以上より,堆積域での破壊の進行過程と過剰間隙水圧の上昇~消散過程の関係について考察を加えるとともに,これまで得られた知見を合わせてとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
今年度は,他機関所有の大型模型斜面での実験を急遽実施する機会を得たために,この実験に合わせたセンサを新たに作成した。そのため当初予定していた本学所有の装置に使用するセンサを全て確保することができず,結果として13,120円の残金が発生した。この金額を次年度へ繰り越しして,当初予定していた本学所有の装置用のセンサ数を確保することにした。次年度では,堆積域が不飽和状態でのスクイージング現象の再現のためにセンサを購入すること,現象を詳細捉えるための最適なメトローズ溶液の濃度について検討するための装置を購入する予定である。
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