2016 Fiscal Year Research-status Report
減風性能・透視性・飛散物堆積をコントロールする風害対策ガイドラインの提案
Project/Area Number |
16K12858
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
富永 禎秀 新潟工科大学, 工学部, 教授 (00278079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 減風性能 / 風害対策 / 透視性 / 飛散物堆積 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず防風フェンスやネットの孔は対象物に対して非常に小さいことから、孔を直接メッシュで再現せずに流体力学的な効果をモデル化する多孔質媒体(Porous media)解析手法について、既往の国内外の研究動向をレビューした。その結果、研究事例の多い樹木キャノピー等に対して、フェンス・ネットは、その影響範囲に比較して、極めて「薄い」という特徴も有するため、CFD解析上は厚みを持たない「膜」としてモデル化する多孔質ジャンプ条件を用いるのが妥当であることを確認した。これは本質的に、厚みをもつ一般的な多孔質媒体モデルを1次元に単純化したものである。しかしながら、モデル中で使用される数値定数の最適値は、検証できるデータの不足から、屋外に設置されるフェンス等においては現状では確立されていないことも明らかとなった。 さらに今年度は、開口形状(大きさ、充実率、厚さ)を様々に変化させた全10ケースの系統的風洞実験を行った。風速及び乱流変動成分を詳細に測定することで、CFDモデル検証用のデータベースを整備することができた。また計測結果から、無孔フェンスは、フェンス直近での風速低減効果は大きいが、フェンスの影響による風速の回復が早いこと、開口率の小さいフェンスほど、場所による風速の差が大きくなること、グリッド・スリットタイプのフェンスはフェンス直近部での風速低減効果は大きいが、メッシュタイプに比べ、風速の回復がやや早いこと、などが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず既往の遮蔽物周りのCFDモデリング手法の国内外の既往研究のレビューを広範囲に実施し、多くの知見を得ることができた。この成果は、今後のCFDモデリング開発に活かすとともに、別途レビューペーパーにまとめている段階である。 またフェンス周りの風速分布のCFDモデル評価のため、新潟工科大学の風洞実験室を利用した実験を行い、計10パターンの開口性状の異なるフェンス周りの平均風速、乱流変動に関する貴重な測定データを得ることができた。今後は、この結果を用いて、モデル化の方法やモデルに現れる各種のパラメータを最適化する際に活用できるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初計画の方針で研究を推進する予定である。今年度実施した風洞実験結果をターゲットにCFD解析を行い、上記の多孔質モデリングにおけるフェンス形状に応じたモデル係数の同定手法を確立する。その後、引き続き、本研究で確立したCFD多孔質モデルを用いて、砂粒子を対象とした堆積性状の予測手法を確立する。また同様に砂粒子を対象とした風洞実験を新潟工科大学所有の装置で行い、CFDの予測精度を検証する。 またモデリング精度を検討するためには、観測結果との比較・検証が不可欠である。その姿勢を堅守して、信頼性の高い実験か屋外観測を実施することによって、基礎的なデータを蓄積していきたい。
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Causes of Carryover |
実験用模型の材料費が当初予定よりも少なく済んだため、次年度の実験計画を踏まえた上で新たに購入した方が効果的と判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施する予定の実験のための模型用の材料を購入する予定。
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