2016 Fiscal Year Research-status Report
初代培養系培地内添加用多価不飽和脂肪酸カクテルの創製とその効果に関する革新的研究
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16K12864
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 孝夫 山形大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00142654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医工学 / 脂質 / 初代培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋細胞の多価不飽和脂肪酸添加培養実験では、ラット胎児から採取・単離した心筋細胞を用いてリノレン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、アラキドン酸もしくはドコサテトラエン酸の単独添加培養実験を行い、組織中脂肪酸分布、脂肪酸取込み量及び自動能を検討した結果、ドコサヘキサエン酸20µMとアラキドン酸50µM添加の場合に拍動能が最も高くなり、その時の培養細胞内多価不飽和脂肪酸分布が生体内のそれに最も近いことが分かった。 これらの成果の一部は、昨年5月の2nd Bio-IST Symp(Kuala Lumpur, Malaysia)での招待講演や11月の計測自動制御学会LEシンポジウム(大阪)で発表した。また5月の生体医工学会大会(仙台、発表確定)及び12月のASCC2017(Gold Coast, Australia)でも研究発表予定である。 今後はこの2種の脂肪酸を中心に、多種の多価不飽和脂肪酸の最適混合条件を見出していく予定である。 一方脂肪細胞培養ではまず、一般的に用いられている幼齢ラットから採取した白色脂肪細胞を用いて培養実験を行ったが、数日内に培養細胞が死滅してしまい、その主因が細胞の未成熟性にあるものと判断された。そこで成ラットから採取した細胞で培養してみたところ、かなりの改善が観られ、脂肪細胞ではむしろ一般的には難しいとされている成ラット細胞での初代培養成績の方が優れていることを発見した。これにドコサヘキサエン酸を単独培地添加したところ、細胞生存率はさらに若干改善された。しかしながら、培養細胞は最終的に一般的な脂肪細胞とは異なる形態に変化したため、今後は脂肪細胞としての機能を維持できているかどうかを含めて、安定培養条件を見つけていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績の概要に記載の通り、計画していた二種類の細胞の内、心筋細胞の初代培養実験は順調に進んでいるものの、脂肪細胞の実験はやや遅れて進行中である。 心筋細胞培養では、ドコサヘキサエン酸とアラキドン酸が特に優れた効果を有することが明らかとなったが、脂肪細胞初代培養実験では、当初の細胞死滅状況を、脂肪組織を採取する動物の週齢を変えることによってほぼ解決することができた。しかしながら現在は通常の脂肪細胞とは異なる形態の細胞のみの増殖が観察されており、その細胞の性質の解明を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進行している心筋細胞初代培養では、予定通りカクテルの調合に進む。十分な実験数を得て、必要もしくは効果的な多価不飽和脂肪酸カクテルを決定する。 脂肪細胞初代培養ではまず、白色及び褐色脂肪細胞の安定な培養条件をそれぞれ確立する。予定していた測定パラメータの他に、脂肪細胞とは形態の異なる増殖細胞について、脂肪細胞マーカタンパクの発現をリアルタイムPCR法やウェスタンブロット法などで測定することを考えている。 それらが解決してから、心筋細胞の場合と同様、種々の多価不飽和脂肪酸を培地添加して培養実験を進める予定である。 これらの結果をまとめて、12月の国際会議(Australia)での発表を予定するとともに、英文での論文執筆に進んでいく。
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Causes of Carryover |
脂肪酸分布測定に用いているガスクロマトグラフィシステム用のヘリウム及び人工空気ガスボンベの交換が年度末に必要になる見込みであったため、その費用を取り置いていたが、予定よりガスの消費量が少なく、次年度まで持ち越せることが分かった。 そのため、今年度予算で計上していたそのための金額を、そのまま次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度前半には上記費用を当初の予定通りの目的に使用する予定である。このことは次年度予算の執行に関して影響を与えないため、次年度予算についても当初の予定通り、主に培養実験に関する消耗品や各種パラメータ測定キットの購入、並びに研究発表旅費などに使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)