2016 Fiscal Year Research-status Report
MEMS技術と化学発光反応を利用した非接触引張試験による赤血球破壊力学条件の定量
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16K12867
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直行 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20382898)
吉川 洋史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50551173)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤血球 / 溶血 / 光計測 / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
血液接触を伴う医療機器では高せん断応力の印加等により赤血球が壊れ,内部のヘモグロビンが漏出する.これは溶血と呼ばれ,医療機器開発において低減が課題となっている.現在,赤血球の変形挙動に基づく溶血シミュレータの開発がなされている.しかし,赤血球の膜破断条件とヘモグロビン漏出量との関係が不明であるため完成には至っていない.これまでに,赤血球の両端にガラスニードルを接着把持する引張り試験が行われたが,赤血球を把持すること自体が困難であり,実験データの再現性に乏しかった.本研究では、衝突流によって流体力により赤血球を変形させて把持等を伴わない引張試験を行うことで変形量と溶血量との関係を導出することを目的とする. 平成28年度においては,実験系の構築と単体赤血球の部分溶血実験を行った.作製した流路は,最小流路幅50 マイクロメートルの十字管であり,赤血球を投入する流路と対抗する流路から流れが衝突し,十字管交差部にて赤血球が瞬間伸張するという仕組みになっている.顕微鏡を介した高速度ビデオカメラで交差部を撮影し,赤血球挙動および輝度値を調べる実験系を確立した.赤血球を100~400μl/minの種々の流量にて流し,交差部中央での変形量を調べたところ,100, 200, 400 μl/min の順に変形量が大きかった.しかし,漏出ヘモグロビン量は200 μl/minの条件で最も大きい結果となった.このことより,変形量が大きくても,変形している時間が短い場合,裂孔が生成されてもヘモグロビンが漏出する時間がなく閉じてしまい,溶血量が多くならないことが示唆された.すなわち,200 μl/min は,赤血球膜免に裂孔が生じた上でヘモグロビンが漏出する時間が十分にあったという条件であったのではないかと推察され,溶血には変形量と変形時間の両者が関与していることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目に予定していた計画についておおむね達成できた。具体的には、赤血球溶血用の十字型微小流路をMEMS技術により安定的かつ精度よく作製することができた。また、赤血球の変形挙動にを観察する実験系も構築し、変形中の赤血球の輝度値を計測することで内包するヘモグロビン量を計測することもできた。流量を変えた場合における変形挙動およびヘモグロビン漏出量との関係についても明らかにすることができた。一方、計算力学モデルによる赤血球変形時におけるひずみの算出についてもプログラムはほぼ完成しており、いくつかの例についてはシミュレーションを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は計画通りおおむね順調に研究を進めることができたが、いくつか問題が残ったのも事実である。第1に、平成28年度では,流路交差部における赤血球の輝度値をしらべることで残留ヘモグロビン量を調べた.その結果として流量が大きいほど,赤血球の輝度値は低下し,ヘモグロビン量が低下していることが示唆された.しかしながら,これは,流量が大きいことにより,高速度カメラへの光量が低下し,結果として,薄く見えてしまったということが考えられる.そこで,流路通過後の赤血球を回収し,残留ヘモグロビン量を測定することにより,平成28年度の結果について真偽を明らかにする.第2に,平成28年度において試した流量では,赤血球の変形量が流量に対して多少は変化したものの,有意な変化は認められなかった.そこで,より小さい流量において実験を行い,データを補完する.第3に,ヘモグロビンの残留量計側法を改良する.平成28年度は白色光を用いたにも関わらず,ヘモグロビン量の計測においては,波長420 nm前後の吸光係数を用いていた.そこで,本年度は昨年購入した紫外線ランプを用いて,波長420 nm前後のみの光を当てることにより,より精度の高いヘモグロビン残留量の計測を試みる.
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に推移しているが、実験を行うに当たって必要な消耗品や物品等を購入すると共に、本年度は成果発表を目的として学会に出席するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
赤血球挙動の観察にあたり新たな対物レンズの購入および消耗品等を購入する。また、流路作製費用として使用する。更には、学会発表等のための渡航費用として使用する。
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Research Products
(1 results)