2017 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro reconstruction of HPA negative feedback system underlying neurodegenerative diseases
Project/Area Number |
16K12870
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神保 泰彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20372401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
長期的なストレスの継続がうつ病などの精神疾患につながる場合があることは広く知られているが,そのメカニズムは不明である.本研究ではストレス応答において主要な役割を果たすと考えられている視床下部-下垂体-副腎系に焦点を絞り,実験動物から採取した視床下部室傍核(PVN)等からなる培養系を,集積化電極アレイ基板上に構成して神経活動計測を行なっている.計画初年度に実施した培養条件最適化に基づき,本年度は,(1) 共培養デバイス製作プロセス条件の最適化,(2) 細胞内Ca2+イオン濃度変化及び電気活動計測を行なった.1枚の基板上に複数の細胞培養区画を設け,区画間をトンネルで連結するという構造の製作過程で,PDMSマイクロ構造物の熱変形が課題となっていた.今回,鋳型として150 μm 間隔,30本のストライプ構造を作製,この形状をPDMSに転写する際の熱処理につき検討した.60-80 ℃,2-6 hの条件で生じる熱収縮の補償として,予め1.5 %のサイズ補正を適用した鋳型パターンの適用により,誤差0.5 % 以内に抑えられるとの結果を得た.PVNを含む部位から採取した培養細胞系についてCa2+イオン濃度を計測した結果,観測視野中の細胞のうち20±17 % (mean±SD) が自発的なCa2+変動を生じ,電位依存性K+チャネルに対するアンタゴニスト(4-aminopyridine)投与により,その割合が増加する(30±11 %)ことがわかった.さらに,齧歯類におけるストレスホルモンであるcorticosterone投与に対する自発電気活動変化を記録した.濃度10 μM の条件下において,投与直後には活動が減少する場合が多かったが,その後1週間の間に初期状態と同程度に復帰,さらには活動が増加する試料もあるという結果が得られ,ストレス応答の理解に向けてさらにデータを蓄積する必要がある.
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