2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12874
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥澤 勇介 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10767354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 新 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (40361331)
三嶋 雄太 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (80770263)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロデバイス / 生体模倣 / 3次元培養 / iPS細胞 / 血管 / 胸腺 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、T細胞の分化・成熟に必要不可欠な臓器である胸腺の機能を再現可能なデバイスの開発を目的としている。本年度はシステムの構築に焦点を当て、3次元の細胞凝集塊への血管網の作製、およびiPS細胞から誘導した血管内皮細胞を用いて血管網の作製を検討した。まずはヒト初代細胞および細胞株を用いてシステムの構築を行った。胸腺の上皮細胞に類似した機能を持つストローマ細胞を用いて3次元の細胞凝集塊を作製し、臍帯静脈内皮細胞を用いて血管新生を誘導することで、マイクロデバイス内の細胞凝集塊に血管網を作製した。胸腺は小葉と呼ばれる細胞塊が凝集した構造をとっており、その構造を模倣するために、複数の細胞塊をデバイス内にゲルと共に導入し、その細胞塊に血管網を作製した。その結果、流路を介して個々の細胞塊の中に溶液や細胞を流し込むことができる血管網を備えたシステムの開発に成功した。これにより、流路を介して3次元の細胞塊に血液細胞を灌流でき、生体内の胸腺に類似した環境下で細胞を培養可能となる。さらに、ヒトiPS細胞から誘導した血管内皮細胞を用いて血管網の作製を検討した。マイクロ流体デバイス内で血管新生の誘導を行った結果、iPS由来の血管内皮細胞がデバイス内でチューブ状の血管構造を形成し、その中には溶液および細胞を送液可能であった。これにより、iPS細胞を用いて細胞塊への血管網の作製が可能となった。T細胞を作製する上で、自己・非自己の認識が非常に重要となるため、同一のiPS細胞から全ての細胞を作製することが必要となる。その第一ステップとして、今年度は灌流可能な血管網を作製することに成功した。現在は同一のiPS細胞を用いて胸腺の上皮細胞の作製に取り組んでおり、既に作製できているT細胞の前駆細胞と共にデバイス内で3次元的に培養を行うことで、胸腺機能の再現を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元の細胞塊の凝集体に、灌流可能な血管網を作製できるデバイスの開発に成功し、さらにiPS細胞から誘導した血管様の細胞を用いて、灌流可能な血管網を作製することにも成功しているため、当初の計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究を進める。今年度で血管網の作製に成功しており、次のステップとして、胸腺細胞の作製およびT細胞の作製に取り組むことで、胸腺機能が再現可能なデバイスの開発を行う。まずは、胸腺上皮細胞のモデルとなるストローマ細胞を用いて、3次元の細胞組織を作製し、T細胞の作製を検討する。次に、iPS細胞より胸腺上皮細胞を分化誘導して3次元の細胞組織を形成することで、胸腺機能の再現を試みる。胸腺の機能は作製した組織の組織構造、およびT細胞の形成能により評価を行う。最終的には、同一のヒトiPS細胞から血管内皮細胞、胸腺上皮細胞、間葉系幹細胞、T細胞の前駆細胞を作製し、デバイスに導入することで、胸腺機能の再現、および機能的なT細胞の作製を試みる。本研究の目的は、マイクロ流体デバイスを用いて胸腺の環境を模倣することで胸腺機能を再現可能なデバイスを構築することにある。胸腺機能を再現することで、iPS細胞から機能的なT細胞を作製することを最終目標としている。
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Research Products
(6 results)