2016 Fiscal Year Research-status Report
固定化高分子鎖のベルクロ様絡み合い制御による生体環境下での界面接着・脱着
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16K12893
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (80631150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、電着法によって金属表面に固定化可能なポリエチレングリコールの設計および合成を検討した。これまでに研究代表者らは、電着法によってポリエチレングリコールの両末端を金属基板に固定したループ状表面と片末端を固定したグラフト状表面の作製に成功している。このループ状表面およびグラフト状表面の組み合わせの界面ではループ状表面どうしやグラフト状表面どうしの界面と比較して動的摩擦係数が大きくなることを明らかにしており、生体環境下のような水和状態においても分子鎖レベルの絡み合い制御によって界面物性を大きく可変できることを報告している。そこで本研究課題ではこの絡み合いを増強することによって、基板どうしの安定な接着と荷重負荷による容易な剥離を可能とするベルクロ様界面を水中で構築することを目的としている。当該年度は、電着するためにアミノ基を末端導入したポリエチレングリコールの設計および合成を行った。従来のアミノ基修飾ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコールの分子量に関わらず1分子のポリエチレングリコールに対して1分子もしくは2分子のアミノ基が導入されていたが、より強固にポリマーを表面固定するために局所的に多数のアミノ基を有する超分岐ポリマーを末端に導入したポリエチレングリコールの合成条件を検討し、その合成ルートを確立した。アミノ基数の異なる超分岐ポリマーを用いることによって、ポリマーの安定な表面固定とポリマーのグラフト密度の制御、電着効率の向上が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画としてアミノ基末端のポリマーの合成を設定しており、現段階でその合成法が確立できたことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
電着反応によりチタン基板上に超分岐ポリマー修飾ポリエチレングリコールを両末端もしくは片末端固定したループ状表面とグラフト状表面を作製する。種々の原子団をポリエチレングリコールに導入し、疎水性相互作用もしくはポリマーのコンフォーメーションを利用した分子鎖レベルの絡み合い増強を試みる。作製したグラフト状表面とループ状表面を用いて両基板を接触、移動させた際の動的摩擦力、静的摩擦力、および接着基板の引張試験より接着強度、せん断応力を評価する。
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Research Products
(7 results)