2017 Fiscal Year Research-status Report
固定化高分子鎖のベルクロ様絡み合い制御による生体環境下での界面接着・脱着
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16K12893
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (80631150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに電着法によって作製したポリエチレングリコールのループ状表面とグラフト状表面の界面がループ状表面どうしやグラフト状表面どうしの界面と比較して動的摩擦係数を増大させることを明らかにしており、生体環境下のような水和状態においても分子鎖レベルの絡み合い制御によって界面物性を大きく可変できることを報告している。本研究課題ではこの絡み合いの増強によって、表面どうしのより安定な接着と荷重負荷による剥離を可能とするベルクロ様界面を水中で構築することを目的としている。平成29年度は、多数のアミノ基を有する超分岐ポリマーを末端に導入したポリエチレングリコールの大量合成を行った。具体的には、分子量5000から20000の種々ポリエチレングリコールの片末端もしくは両末端にアジド基を修飾し、プロパギル基を有したポリアミドアミンデンドロンとのクリック反応によって片末端もしくは両末端に多数のアミノ基を局所的に有したポリエチレングリコールを合成した。合成したデンドロン修飾ポリエチレングリコールの構造は、1H-NMRおよびFT-IRによって同定した。つぎに、チタン表面を用いてデンドロン修飾ポリエチレングリコールの電着実験を行った。チタン基板は、耐水研磨紙を用いて表面を磨いてから使用した。ポリマー濃度および電解質、反応時間に関して電着条件を検討した上で、硫酸ナトリウム水溶液中でチタン表面へのデンドロン修飾ポリエチレングリコールの固定化を行った。デンドロン修飾ポリエチレングリコールを電着した後のチタン表面は、電着前のチタン表面と比較して明らかに表面粗さが増大しており、ポリマーが表面に固定されたことを原子間力顕微鏡によって確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り新規ポリマーの電着実験に成功しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフト状表面に固定するポリエチレングリコールの片末端に種々の原子団を修飾し、疎水性相互作用もしくはポリマーのコンフォーメーションを利用してループ状表面との分子鎖レベルの絡み合い増強を試みる。作製したグラフト状表面とループ状表面との界面における動的摩擦力、静的摩擦力について引張試験によって評価する。その際、ポリエチレングリコール鎖の分子量やポリマー密度が、ベルクロ様接着界面に与える影響についても解析する予定である。
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Research Products
(1 results)