2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子ベース人工転写因子を用いた弓矢リプログラミング法による心筋細胞の誘導
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16K12896
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ナマシヴァヤム パンディアン 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教授 (20625446)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子制御分子 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、心臓の主要な構成要素である心筋細胞の革新的再生法の開発が望まれている。細胞の運命を決定するのは転写ネットワークであるため、本研究ではSOX2のような転写因子を阻害することで遺伝子発現を直接制御する分子の開発を目指した。SOX2は多能性幹細胞から心臓中胚葉への分化に対して抑制的に働くことが知られる。本年度は、SOX2の結合DNA配列である5′-CTTTGTT-3′に選択的に結合する合成分子を設計した。網羅的遺伝子発現解析の結果、この合成分子はSOX2が司る遺伝子調節ネットワークをコントロールし、自発収縮する心筋細胞へと分化可能な中胚葉細胞を誘導することが明らかとなった。遺伝子発現を直接制御する既存の方法の多くは外来DNA配列の挿入リスクを有する。いくつかの小分子化合物が転写因子の活性を制御することが報告されているが、それらは特定の受容体-リガンド間の相互作用と酵素活性を調整し、DNA配列を認識するものではない。我々が今回開発した方法により、この問題を回避することができると考えられる。この研究結果について現在論文投稿準備中である。また合成転写因子の関連研究として異なる生物活性を有するエピジェネティック制御可能な合成転写因子についての原著論文2報報告した。また本研究課題のコンセプトであるnature-inspired smart biomaterials designに関する総説論文がBulletin of the Chemical Society of Japanにカバーアーティクルとして掲載された。その他、代表研究者はこれらの遺伝子スイッチに関する発表をバイッシュナフカレッジ(インド)で行い、Department of Biotechnology-Scientist of the Month(2016年8月)を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、核酸のケミカルバイオロジーの知見に基づき人工的に合成した転写因子ミミックを用いて、未分化維持の抑制と心筋関連遺伝子調節ネットワークの活性化を段階的に誘起して細胞をリプログラミングすることである。プレリミナリー研究として、我々は合成リガンド分子のDNAへのアクセシビリティに対するヌクレオソーム構造の重要性を報告した(Chemistry- An European Journal)。また、体細胞と多能性幹細胞の両方において疾病治療に重要な遺伝子を活性化する分子を同定した。この成果はChemistry Openに掲載された。またDNA結合ドメインのスクリーニングの過程で転写因子SOX2を効果的に阻害する合成分子を同定し、この分子が未分化状態の維持を阻害し中胚葉関連遺伝子を活性化して心筋中胚葉を誘導することを見出した。誘導された中胚葉は自発収縮能を有する心筋細胞へと分化可能であった。他の転写因子のキー配列をターゲットにした合成転写因子を設計・合成し、心筋中胚葉から心筋細胞へと分化させることにも成功した。来年度前期には、これらの合成転写因子のみによる幹細胞から心筋細胞への誘導が可能になると見込んでいる。またこの結果を発表した際、アメリカのSalk Instituteとの共同研究を発足させた。さらにインドのマイソールで行われたIndian JSPS Alumni Associationのシンポジウムでの招待講演でも有意義な共同研究を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト多能性幹細胞を心臓中胚葉へと分化させる合成転写因子の開発に基づき、現在我々はナノ粒子を用いた新たな合成転写因子(Nano-TF)の開発を目指している。DNA結合ドメインやエピジェネティック活性分子など、昨年度に評価を行った各種因子を磁気コアシェル型ナノ粒子に導入することで開発を行う。生物活性をもつNano-TFの作出に向けて化学構造の最適化を行い、体細胞と多能性幹細胞を用いた弓矢型リプログラミングにおける活性を評価する。Nano-TFの評価にはゲノム/エピゲノム解析も用いる予定である。解析から得られた結果に基づいて最適な細胞種を同定し、次世代型Nano-TFの開発に取り組む。予想される課題として、Nano-TFにおける構成因子の配置/割合/種類の影響が挙げられ、これらを最適化する研究が必要である。最終的に細胞の未分化維持を抑制するNano-TFと心筋細胞への分化を促進するNano-TF(cardiomyocyte-activating NANO-TF, CAN)を心筋細胞の創出に応用する。この心筋細胞をトランスクリプトーム解析や機能性試験を通して評価し、適切に分化が行われているかを確認する。Nano-TFは心筋細胞の再生医療において大きな価値を持ち、高いインパクトを持つオープンアクセスなジャーナルに投稿する予定である。得られた結果の効率的な周知のため、インドおよびアメリカの研究機関との共同研究を展開していく予定である。
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Causes of Carryover |
少額のため次年度に繰越。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に合算して使用。
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[Presentation] Smart genetic switches2016
Author(s)
Ganesh N. Pandian
Organizer
Madurai Kamaraj University Visiting Program
Place of Presentation
Madurai Kamaraj University, Madurai, India
Year and Date
2016-10-30 – 2016-10-31
Invited
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[Presentation] Nature-inspired smart genetic switches2016
Author(s)
Ganesh N. Pandian
Organizer
7th Indian JSPS Alumni Association (IJAA) International Conference on Science and Technology: Future Challenges and Solutions (STFCS-2016)
Place of Presentation
University of Mysore, Mysore, India
Year and Date
2016-08-08 – 2016-08-10
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Epigenetics2016
Author(s)
Ganesh N. Pandian
Organizer
Department of Biotechnology Scientist of the Month Program
Place of Presentation
DG Vaishnav College, Chennai, India
Year and Date
2016-08-01 – 2016-08-02
Invited