2016 Fiscal Year Research-status Report
血糖降下ホルモン血中濃度を遠隔操作する四元亜鉛核酸複合体による糖尿病治療革新
Project/Area Number |
16K12899
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
朝山 章一郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (90315755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / 亜鉛イオン / 核酸 / 糖尿病治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵臓の分泌する血糖降下ホルモンの血中濃度を、肝臓へ四元亜鉛核酸複合体を送達することにより制御し、未だ根治治療の無い糖尿病治療を革新する。すなわち、血糖降下ホルモンの補充によりその血中濃度を高める常識的な治療法を覆し、肝臓におけるホルモンの分解を抑制することによりその血中濃度を高める革新的な治療法を提案する。広義には、肝臓への医薬の送達により、膵臓の分泌するホルモンの血中濃度の遠隔操作に挑戦する。 本年度は、先ず、「(I)Zn2+/pDNA/肝実質細胞認識性糖鎖/キャリアから成る四元亜鉛核酸複合体の調製」を行った。複合体の構造最適化の過程で、細胞質内移行性キャリアとして、ポリビニルイミダゾール(PVIm)が、Zn2+を3mol%以上配位したことから、Zn2+の配位に最適な一次構造であることが明らかとなった。得られた亜鉛配位型のPVImとpDNAを電荷比(+/-)8で混合し、肝実質細胞認識性糖鎖であるβ-ガラクトース修飾ポリリジン(PLL-Lac)を電荷比(+/-)2または4で混合して調製した四元複合体は、PLL-Lacの無い三元複合体と比較して、肝癌細胞株(HepG2)へのZn2+の取込量を向上させた。 次いで、上述のZn2+/pDNA/PLL-Lac/PVIm四元複合体を用いて、「(Ⅱ)四元亜鉛核酸複合体を導入した肝実質細胞のインスリン分解抑制評価」を行った。HepG2細胞へ四元複合体を添加し、培養上清中のインスリン量を測定すると、無添加系と比較して、残存インスリンの量が増加した。この結果は、Zn2+イオンの細胞内送達によるインスリンレセプター(IR)の内在化の抑制を示唆している。 そこで、四元複合体を正常マウス尾静脈から投与して、個体としての安全性を評価すると、肝臓所見に異常がないことなどから、創薬上の安全性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、、「(I)Zn2+/pDNA/肝実質細胞認識性糖鎖/キャリアから成る四元亜鉛核酸複合体の調製」および「(Ⅱ)四元亜鉛核酸複合体を導入した肝実質細胞のインスリン分解抑制評価」を掲げた。(I)では、四元亜鉛核酸複合体として、Zn2+の配位量の最も多いZn2+/pDNA/PLL-Lac/PVIm四元複合体に、構造最適化したためである。(Ⅱ)では、得られたZn2+/pDNA/PLL-Lac/PVIm四元複合体を肝癌細胞株(HepG2)へ導入すると、細胞培養上清中のインスリンの残存量が向上したことから、インスリンの分解抑制が示されたためである。 さらに、次年度で評価する予定の動物実験に関する安全性の確認が行えたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
創薬上の安全性評価を行ったZn2+/pDNA/PLL-Lac/PVIm四元複合体を、糖尿病モデルマウスへ尾静脈投与し、血糖降下作用評価を遂行する。そして、四元亜鉛核酸複合体の肝実質細胞へのターゲティング能と血糖降下作用との相関を解析し、糖尿病治療の革新を目指す。
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Research Products
(8 results)