2017 Fiscal Year Annual Research Report
Remote Control of Insulin Concentration in blood by Zinc pDNA Quaternary Complexes for New Diabetes Therapy
Project/Area Number |
16K12899
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
朝山 章一郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (90315755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / 亜鉛イオン / 核酸 / 糖尿病治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血糖降下ホルモン(インスリン)の補充によりその血中濃度を高める常識的な治療法を覆し、肝臓におけるインスリンの分解を抑制することによりその血中濃度を高める革新的な治療法を提案する。四元亜鉛核酸複合体(Zn2+/pDNA/PLL-Lac/PVIm)の予備的動物実験結果をフィ―ドバックし、Zn2+の肝臓への送達効率の向上を目指し、Zn2+のキャリアへの保持能の強化を図るため、細胞質内移行性キャリアの構造活性相関を明らかにした(Asayama et al. J. Inorg. Biochem. 2017)。すなわち、PVImに導入するアルキル基を、メチル基から、エチル基、ブチル基と伸長すると、エチル基を導入したエチル化PVIm(PVIm-Et)が約4mol%と最もZn2+を配位した。従って、PVIm近傍の疎水性環境の向上から、Zn2+の保持能の強化が期待できる。そこで、得られたZn2+配位型PVIm-EtによるZn2+の血清存在下での肝細胞内送達を試みると、肝癌細胞株(HepG2)へのZn2+の取り込み量を向上させた。また、Zn2+配位型PVIm-Etと複合化させたpDNAのHepG2細胞への取り込み量は、アルキル鎖長に依存しなかったのにもかかわらず、遺伝子発現が最も高かった。つまり、Zn2+配位型PVIm-Etは、最も効果的にZn2+によるpDNAの遺伝子発現上方制御が示されたため、Zn2+の肝細胞質内でのインスリンレセプター内在化抑制に最も寄与すると考えられる。そこで、Zn2+配位型PVIm-Etを、HepG2細胞に取り込ませると、培養上清中のインスリン残量の向上が認められた。従って、HepG2細胞によるインスリンの分解抑制に成功した。以上より、肝臓におけるインスリンの分解を抑制することによりその血中濃度を高める革新的な治療法を確立するための有望なデータを得た。
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